着物には、美しく着こなすためのちょっとしたコツがあります。
洋服とは動き方や扱い方が異なるため、知らないうちに間違いやすいポイントも多いものです。
この記事では「着物でしてはいけないこと」を中心に、初心者が気をつけたい基本マナーをまとめました。
撮影の現場や着付け同行で実際に見かけた例も交えながら紹介するので、日常の動き方を意識するヒントになります。
着物姿で“してはいけないこと”って?
着物はシルエットが整うことで魅力が引き立ちます。
しかし、普段の癖がそのまま出てしまうと、着崩れに繋がってしまうこともあります。
ここでは、特に初心者がやりがちなNG行動を取り上げ、なぜ避けるべきなのかをわかりやすく説明します。
少し意識するだけで、着姿がぐっと整って見えます。
歩幅を大きくしすぎる
着物は裾が大きく開かないつくりになっているため、歩幅を広げると裾が前にめくれたり、生地を踏んでしまうことがあります。
階段では特に崩れやすく、胸紐がゆるんだり、上前が浮いたりしやすい傾向があります。
歩くときは、足を真っすぐ前に出すイメージで、歩幅を普段より小さくするのがポイントです。
七五三の同行撮影でも、歩幅が大きい方ほど胸元が落ちやすく、立ち止まるたびに整える必要がありました。
膝下を中心に使うつもりで歩くと、着姿が安定しやすくなります。
脇を大きく開けて動く
脇を大きく開ける動作は着崩れを招きやすく、胸元が落ちたり帯がゆるんだりする原因になります。
荷物を高く持ち上げたり、子どもを抱き上げたりすると特に崩れやすくなるため注意が必要です。
撮影に同行していると、腕の動きが大きい方ほど帯山が下がりやすいことがよくあります。
高さのある物を持つときは、体に近づけてから扱うと安定しやすくなります。
着物は「動きを小さくまとめる」と美しさが保ちやすいと覚えておくと安心です。
【シチュエーション別】着物のNG行為を紹介!
着物は場面ごとに適したふるまいがあります。
ここでは、フォーマル・食事・屋外という三つのシーンに分けて、ありがちなNG行為を紹介します。
TPOに合ったふるまいを意識することで、どんな場でも落ち着いて過ごせるようになります。
食事で袖を垂らしたままにする
長い袖は料理に触れやすく、ちょっとした油や汁でも汚れが残りやすくなります。
テーブルにつくときは袖を軽く手前に寄せたり、膝の上にまとめるようにすると安心です。
過去には、訪問着で食事された方が汁物で袖を濡らしてしまい、乾いたあとに輪染みとなって残ったケースもありました。
懐紙を袖に添えるだけでも汚れ防止に役立ちます。
特に和食では汁気の多い料理が出るため、袖の扱いを気にかけておきましょう。
フォーマルにカジュアル帯を合わせる
着物には「格」があり、場にふさわしい帯を選ばないと全体の印象が崩れてしまいます。
礼装の場で半幅帯や紬帯を合わせると、格式が不足して見えてしまい、場の雰囲気に合わなくなることがあります。
成人式・式典・入学式・結婚式などでは、袋帯が基本です。
迷ったときは、場に合わせて少し格式の高い帯を選ぶほうが安心できます。
着物に関するよくある質問(FAQ)
Q. 着崩れしやすいのはどこですか?
胸元と腰まわりが特に崩れやすい部分です。
歩幅が大きかったり、腕を大きく動かしたりすると胸元が落ちやすくなるため、動きを少し小さくまとめると安定します。
Q. 食事のときに持っておくと便利なものはありますか?
懐紙があると袖を押さえたり、口元を軽く拭いたりと幅広く使えます。
袖汚れの防止にも役立つため、1枚あると安心です。
Q. 子どもを抱っこするときはどうすればいいですか?
脇を大きく開けず、体に近づけて抱くと着崩れが起きにくくなります。
帯に強い負荷がかからないよう、ゆっくり動くことを心がけると良いでしょう。
まとめ
着物で「してはいけないこと」は、難しい決まりではなく、着姿をきれいに保つための基本的なポイントです。
歩幅や腕の動かし方を少し意識するだけで、着崩れの多くは防げるようになります。
さらに、食事での袖の扱いや帯の選び方など、TPOに合わせたマナーを知っておくと安心して着物を楽しめます。
関連ページの「初心者向け着付け」や「帯の種類」もあわせて読むと理解が深まり、着物をより快適に着られるようになります。

