着物でトレンドな大正ロマンとはどういう意味を表しているのでしょうか?
特徴や人気ブランド、コーディネートのコツ、普通の着物との違い、歴史などをまとめてみました。
ぜひチェックしてみましょう!
大正ロマン(大正浪漫)の意味とは
大正の趣を感じさせる文化を表す言葉
大正ロマンとは、大正時代に西洋文化と日本の伝統が融合し、新しいスタイルや思想が広まった時代を指します。
短い期間ながらも、女性の社会進出や普通選挙法の成立などで社会が大きく変わり、希望に満ちた雰囲気が漂いました。この時期のファッションや建築は、華やかさとモダンさが特徴で、多くの人々に新しい時代の息吹を感じさせました。
大正ロマン着物の特徴
大正ロマンとはどんな特徴があるのかをご紹介します*
レトロでモダンな柄が多い
大正時代の着物には、ヨーロッパで流行していた絵画の表現「アール・ヌーボの花」や「植物の曲線美」、アール・デコの幾何学模様が混ざりあった着物の柄、バラ・チューリップ・スイートピーなどの洋花が用いられました。
鮮やかで大胆な洋花や幾何学模様が特徴で、レトロでモダンなデザインが人気です。これらの柄は、日本の伝統的な和柄とは異なり、非常に個性的で新鮮な印象を与えます。
着丈の長い長羽織を着る
大正時代には、贅沢な柄の長羽織が人気を集めました。江戸時代の倹約令から解放されたことで、自由なファッションが楽しめるようになりました。
これにより、華やかで豪華な長羽織が多くの人々に愛されました。
着物とブーツを合わせる
矢絣柄の着物に、行燈袴にブーツといえば「ハイカラさんスタイル」で、卒業式シーズンにはよく見かける組み合わせでしょう。
他にも椿やダリヤの花や幾何学模様の着物を合わせるのも素敵です。
ブーツを合わせるのはハイカラさんスタイルですが、お洒落以外にもメリットがあります。
着物は一般的に草履と合わせますが、卒業式シーズンは寒いのでとても足元が冷えます。
ブーツを履くことで暖かく、下にタイツなども履けるため防寒になります。
さらに袴は腰の位置より上で帯を締めるので足長効果があり、さらにブーツのヒールで身長も高くなるのでとてもスタイルがよく見えるためおすすめです。
大正ロマン着物の人気トレンドブランド
大正ロマンな着物の人気ブランドをいくつかご紹介します。
どのブランドもトレンドなものを厳選しておりますので、ぜひチェックしてみましょう!
MIKI SAKURA
淡い色の総レース着物や帯が素敵なブランドです。
総レース着物は、まるでドレスみたいに特別な日にしてくれる着物とレースやリボンが、大人可愛さを演出してくれます。
こちらの着物は草履ではなくヒールがよく似合います。
現代の和洋折衷の新しい着物です。
KIMONOKOMACHI
女性物のフォーマル着物からカジュアル着物に和装小物は着物用の割烹着なども揃っており、子供の祝い着や長寿お祝い着も取り扱いがあるブランドです。
販売されているところが少ない男女の作務衣も購入できます。
さらに、浴衣や普段着の着物は帯や小物セットで販売もしているので、着物を始めたばかりの方やコーディネートに悩まされる方にはおすすめです。
お値段もリーズナブルなので洋服感覚で購入しやすい特徴があります。
DOUBLE MAISON(ドゥーブルメゾン)
DOUBLE MAISON(ドゥーブルメゾン)は、商品は色・柄ともに合わせやすいものが多く、縦縞の着物は竹久夢二さんが描く、女性がお召しになっていそうな着物でとても可愛いブランドです。
半幅帯の作り帯は従来の浴衣の帯とは違って半幅帯の変わり結びになっており、一見作り帯に見えないのですぐに着てお出かけできそうな帯となっています。
爽やかなレトロモダンなデザインも販売されており、どの年代の方でも長く着れそうな色・柄が販売されています。
竹久夢二(たけひさゆめじ)さんとはどんな人物?
大正ロマンを代表する日本画家。
新聞や雑誌等の挿絵で画家として活動していました。
生涯で愛した3人の女性をモデルに「美人画」を描きました。
その女性達の着物の着方やコーディネートが大正ロマン着物の参考になり、竹久夢二さんの絵が飾られている美術館には描かれている女性たちとよく似たコーディネート大正ロマン着物ファンが集まります。
大塚呉服店
出典:大塚呉服店公式サイト
大塚呉服店は、大胆な幾何学模様のモダンな柄から伝統的な江戸小紋・型染めの帯などもあり、身近な素材のデニム生地の着物も取り扱いがあり魅力的な商品が豊富です。
大胆な柄の着物や帯を用いた上品で洗練されたコーディネートが上手なブランドです。
ふりふ
出典:ふりふ公式サイト
ふりふは、成人式や卒業式のレンタルでレトロモダンの着物を多く取り揃えてるブランドです。
ハイカラさんスタイルや華やかなレトロな着物をあわせた袴が人気となっています。
ふりふで販売されている着物用コートは、洋服のコートとしても着用できて、気に入ったコートをいつでも着れるため人気アイテムの1つです。
さらに、販売されているヘアーアクセサリーは、つまみ細工のボリュームのある飾りからガラス玉のすっきりとしたシンプルなデザインのかんざしまでと、種類が豊富なので気に入った飾りが見つかるでしょう。
きものやまと
きものやまとの店舗に伺うと成人式や訪問着などが目に入りますが、木綿の着物や洗える着物も数多く取り扱いがあり、オリジナル着物や和装小物はセンス溢れるブランドとなっています。
なかでも牛革ベルトの帯締めはとても面白い商品だと思います。
また、100年の歴史のある「きものやまと」は予てから辻が花の着物に力を入れていり、「やまと絹」といい国産の繭の絹糸を使った、白生地から自社で作り伝統的な辻が花の着物を作っています。
辻が花の工程は繊細な作業の積み重ねで出来ており、仕上がった着物は素晴らしく感動すること間違いないでしょうします。
さらに、人生の節目の振袖や七五三などお祝いの着物の着付け・撮影や、受け継がれた古い着物のお手入れやお直しも承っています。
大正ロマン着物のコーディネート方法
大正ロマンな着物を着る際のおすすめコーディネート方法をご紹介します*
着物|柄は古典的なはっきりしたものを選ぼう
大胆な洋花やアール・デコのような幾何学模様、竹久夢二さんが描く女性のような太めの縦縞がハッキリとした柄などがおすすめです。
古典柄の文様も生き物などが描かれた着物も、レトロモダンな雰囲気に着こなせます。
着物と帯も、柄と柄、色合いや柄のバランスを見ながらコーディネートをすると、大正ロマンな雰囲気がでます。
さらに、帯締めは帯どめをつけたり、帯揚げは幾何学模様やスカーフを使うのもお洒落になるためおすすめです。
襟|顔と合わせて映える半衿の色味を選ぶ
大正ロマン着物は半衿が重要ポイントです。
顔に近い半衿は、自分の顔色にも映えて着物にも合うものを選んでください。
色柄ものやボリュームのある刺繍の半衿は、大正ロマンのコーディネートをさらに素敵にまとめてくれます。
白系の半衿をつけたい方は、少し生成り色の刺繡の半衿にすると大正ロマンの雰囲気がでてお洒落になります。
レースの半衿やレースのハイネックを合わせてもいいと思います。着付けの際は、半衿をたっぷり見せて着付けをしてください。
足袋|合わせやすい暗い色が便利
大正ロマンな着こなしをするために、足袋は白足袋より色・柄ものを選ぶようにしてください。
落ち着いたライトグレー・黒・市松模様などは合わせやすいためおすすめです。
冬はコーデュロイ素材の足袋を合わせたり素材にも拘るのもお洒落ですよ。
靴|ブーツは意外と雰囲気をグンと上げる
大正ロマンな着こなしには、ハイカラさんスタイルの袴にブーツは定番です。
着物にも靴やブーツ合わせるときも、黒で重厚感がある靴が大正ロマンの雰囲気をより引き出してくれます。
髪飾り|フィンガーウェーブヘアがトレンド感あり!
大正ロマンな着こなしと合わせるヘアスタイルは、ボリュームがある髪飾りや大きなリボンの真ん中に飾りがあるものを選ぶと可愛いです。
ヘアスタイルをフィンガーウェーブや耳隠しをすると、大正時代に人気のヘアスタイルへ近づけるためおすすめです。
さらに、ヘアーセットが簡単なベレー帽も大正ロマンのコーディネートには欠かせません。
大正ロマン着物と普通の着物の違い
大正ロマンな着物と普通の着物の違いはどんなものがあるのかをご紹介します*
西洋を感じさせる柄が多い方が「大正ロマン着物」
着物の柄はその時代を表すとも言われております。
大正ロマン着物は、当時は西洋の文化が入ってきたことが影響して、洋花や幾何学模様が好まれました。
着物の裏地には木綿やモスリン等の毛織物が使用されていることが多く、虫食いになりやすいです。
胴裏に紅絹が使われていることも多く長襦袢への色移りには要注意です。
大正ロマン着物の歴史
明治時代に自由民権運動が始まり、大正時代に国民が自由を求める運動「大正デモクラシー」と西洋の文化の影響が重なり、今までにない着物の柄や化学染料で染めた、鮮やかで自由な着物が出来上がりました。
今までにない洋花のバラ・チューリップ・スイートピーなどをアール・ヌーボの曲線美やアール・デコの幾何学模様で和洋折衷の柄を着物に活かせて、着方もブーツや帽子・バックなどを合わせた和洋折衷着物。
これにより、今までになかった派手やかなデザインや色味が特徴的な、大正ロマンな着物が出回ったと言えるでしょう。
大正時代の着物の特徴
西洋文化が大正時代に一般人へ広まり、様々な物に模様として使われました。そのひとつが着物です。
アール・ヌーボーやアール・デコを日本的な意匠表現でとりいれたり洋画をそのまま取り入れたりして大正ロマンの新しい着物が出来ました。
裏地は紅絹が使用されていて、生地や糸が弱っていることも多く、着ている時に縫い糸や生地が切れてしまったという話はよく聞きます。
まとめ
大正ロマン着物は、奢侈禁止で我慢して倹約する気持ちが西洋の文化に影響され、、お洒落を楽しむ自由な時代へと移り変わっていき生まれた着物です。
当時の流行の裏には、女性の地位の向上・職業婦人など時代背景が影響しています。
大胆な柄で鮮やかな着物や、可愛いだけではなく艶やかな柄や色合いでお洒落を楽しむ時代の着物が大正ロマン着物でした。
当時は海外の文化の良いところを日本人なりに噛み砕いて、自分達の新しいものを作っていました。
現在も海外の文化に簡単に触れる事が出来る時代なので、また大正ロマン着物に変わる素敵な何かが生まれてくる気がします。