「着物の下着は、一般的な下着とは違う?」「肌襦袢と下着の違いは?」など、ここではそうした着物下着の種類や使い方のほか、普段使いの下着で代用する方法をご紹介します。
また、下着の選び方は着物の種類や季節によっても異なります。
浴衣と振袖では、選ぶべき下着も変わりますし、防寒や透け防止など、季節ごとに必要な機能が違いますので、ご自分の用途に合わせた和装下着選びの参考にしてください。
着物用の下着とは
着物用の下着は、洋服の下着とは大きく違う点がいくつかあります。
着物の下着はあくまで着物姿をきれいに見せたり、着付けを快適にすることが目的なので、デザインよりも実用性を重視したつくりになっているのです。
一般的な下着との違い
一般的な洋服の下着は胸を大きく美しく整える機能があり、レースなどの美しいデザインが施されていますが、着物用の下着にはあまり装飾がありません。
さらに、着物下着は胸の高さや大きさをあえて抑え、体のメリハリをなくすように作られています。
これは、着付けの際に下着の装飾が当たって肌を痛めるのを防ぐほか、プロポーションを寸胴にすることで着崩れを防ぎ、着付けを美しくする効果があるからです。
和装ブラ
胸のボリュームを抑えて、着崩れを予防する機能を持つブラジャーです。
ワイヤレスで縫い目が少ないため、肌への負担が少ないというメリットもあります。
着物の時以外にも、胸を強調したくない服装の時に着用すると便利です。
【価格】1,500円~10,000円程度
和装パンツ
和装用のパンツは着脱しやすく、締め付けが少ないのが特徴です。
着物だと用を足す時、裾を持ち上げてから下着を降ろす必要があり、手間がかかりますが、和装パンツには「股割れ」という機能があるので下着を降ろさずに用を足すことができます。
和装パンツの中には、お腹周りを抑える補正機能のついた和装ガードルなどもあります。
【価格】1,500円~8,000円程度
肌着(肌襦袢)と下着の違い
肌着と着物下着の違いについてご説明します。
着物下着の歴史
まだブラジャーやパンツがなかった昔は、肌襦袢や裾よけが下着として使われていました。そのため現代でも、肌襦袢や裾よけのことを着物下着と呼ぶことがあります。
その後、ブラジャーやパンツが普及した後も「着物を着用する際には、肌襦袢や裾よけの下には何も履かない」というルールがありました。
着物の時は下着をつけない?
下着が普及した現代では下着をつけないことに抵抗感を感じる方も多く、着付けの時にブラジャーやパンツをつけることが一般的です。
着付けの順番としては肌襦袢や裾よけは、下着の上から着用しています。
着物下着の選び方
着物の下着は地味で締め付けの少ない、シンプルなデザインのものを選びましょう。
ワイヤーがあり、装飾が多い下着だと、着付けの際に下着のワイヤーや装飾の部分が肌に食い込んで痛みを感じたり、肌に跡がついたりするからです。
また、夏に薄手の着物や浴衣を着た時、浴衣から下着の色やラインが透けることがあるため、そうした理由からもシンプルな下着が必要なのです。
ブラジャーの選び方
着物で使うブラジャーを選ぶ際、ワイヤーのないタイプを選ぶことが重要です。
専門的な補正用のブラジャーから、肌襦袢の機能を持つブラスリップなど、いろいろなタイプがありますので、ご自分の用途にあわせて選んでみてください。
用途別:着物で使えるブラジャーの種類
・しっかり補正も行いたい…和装ブラ
・普通のブラで代用したい…ユニクロやしまむらなどのワイヤレスブラ
・着付けを簡単にしたい…肌襦袢が一体化したキャミソールタイプのブラスリップ
パンツの選び方
パンツもブラジャーと同様に、レースやリボンの装飾がなく、色が目立ちにくいシンプルなものを選びましょう。
デザインから選ぶならローライズなどの股上の浅いタイプが適しています。
股上が深いパンツだと、着付けでの重ね着でショーツの縫い目が肌に食い込んだり、用を足す時に着脱に手間がかかったりと、着物の時には使いづらいのです。
夏の下着選びのポイント
夏の着物や浴衣を着る時は、色やラインが透けないような下着選びが大切です。
キャミソール型のブラスリップは下着の透けを防いでくれるほか、肌襦袢の役割を持つので重ね着の必要がありません。
また、着物や浴衣に汗を移さないように、吸水性や速乾性に優れた素材を選びましょう。
冬の下着選びのポイント
成人式で振袖を着用したり、初詣など冬に着物を着る時は、防寒機能のある下着選びが大切です。
首や袖が大きく開いている着物は、冬は冷たい空気が入りやすく、そのため発熱効果のあるインナーを肌襦袢の下に着て体の保温性を高めましょう。
下に履くパンツも保温性の高い素材のものを選ぶと、お腹周りの冷えを防いでくれます。
着物下着に代用できるアイテム
「着物を着る機会が少ないので、わざわざ専門の下着を買うのはもったいない」と、思われる方は、洋服の下着を着物に合わせてみてください。
実は普段使っている下着でも、着付けに使えるものがたくさんあるのです。
上半身
和装ブラの代用には、締め付けが少なく、装飾のないシンプルな下着が適しています。
スポーツブラ・ナイトブラ
装飾のないシンプルなスポーツブラは、胸を立体的に強調しないので着物の着付けにぴったりです。
下着のラインも目立ちません。
就寝時に着用するナイトブラも、締め付けが少ないデザインですので着物用の下着として利用できます。
【価格】1,000円~5,000円程度
ワイヤレスブラ
ユニクロなどで販売されているワイヤレスブラは、定番の代用下着です。
実際に着付けの際に利用している方も多く、パットも薄いので着付けに響きません。
【価格】2,000円~5,000円程度
ブラトップ
ブラトップもワイヤレスブラと同様、胸の強調や圧迫が少なく、着物に適した下着です。
また、吸水性、速乾性のある素材がお腹までカバーしているので、着物や浴衣に汗を移さないメリットもあります。
【価格】1,000円~10,000円程度
さらし
晒(さらし)は、綿またはガーゼ素材の漂白した布です。
手芸店や呉服店などで購入できます。
着付けの際にブラジャーの代用として胸の補正に使用されます。
さらしは締め方の強さを自分で調整できる他、通気性が良く、乾きやすいのが特徴です。
【価格】1,000円~5,000円程度
下半身
和装パンツの代用で下着を選ぶ場合、ゆるやかに着るか、補正を加えるかによって選ぶ下着が異なります。
ステテコ
丈の長いショーツやステテコは、着付け時に下に着るものとして裾よけの代わりに使います。
吸湿性に優れ、蒸れにくいので夏の浴衣の下着にもぴったりです。
締め付けの少ない着付けをしたい方向けの下着です。
ガードル
お腹周りのたるみを抑える効果があるガードルは、着付けの補正にも役立ちます。
着付けに利用する時は、ワイヤーや飾りのないガードルを選ぶと肌を痛めません。
着付けできっちり補正をしたい方におすすめの下着です。
着物下着のおすすめ商品
実際に着付けや補正に役立つ、便利な着物下着をご紹介します。
専門性の高い下着は着付けを簡単にしてくれるほか、補正効果があるので着物姿を美しく見せる効果も期待できます。
和装ブラ
胸を適度に抑えてくれるので締め付けが少ないブラジャーです。
着崩れが軽減するため、着姿が美しくなります。つけ心地がよく、和装ブラジャーを普段づかいの下着として使われる方もいます。
肩部分に補正パットがついているので衿の着崩れ対策にもなります。
和装インナー(ワンピースタイプ)
ワンピースタイプの和装インナーは、これ一枚で和装ブラと裾よけ、肌襦袢を代用してくれる便利なアイテムです。バストに負担をかけずに補正をしてくれます。
静電気を抑える生地で作られた裾よけは、静電気で着物に絡まらないので歩きやすいのが特徴です。
また、吸水性・速乾性に優れているので、サラリとした着心地が感じられます。
和装パンツ
この和装パンツは、伸縮性の高い素材で作られています。
そのため、パンツの下の布を左右に寄せることで下着を降ろさずに用を足せます。
股割れの和装パンツで用を足すのに慣れていない方でも安心して使えます。
ゴム紐を使用していないため、肌にゴムが食い込んで痛い、ということがありません。
代用下着のおすすめ商品
日常的に着用できるのはもちろん、着物下着の代用として使える下着です。
ワイヤレスブラ
締め付けが少ないのに、しっかりと胸をホールドしてくれるブラジャーです。
通気性に優れた素材を使用しているため、蒸れが少なく、長時間でも快適に着用できます。
縫い目やタグが無いので、服や着物の上から下着のラインが目立ちません。
シームレスショーツ
シームレスショーツは縫い目やゴム紐が無いデザインのパンツです。
そのため下着のラインが服や着物に影響しません。
洗濯表示がショーツの内部に印刷されているので、タグで肌を痛めることもありません。
ステテコ
ステテコは、着物や浴衣から下着が透けるのを防ぎ、裾よけの代用や日常使いとしても重宝します。
汗をよく吸い取ってくれるので着心地も爽やかです。
良質な綿で作られているため劣化が少なく、長く使い続けられます。
まとめ
ここまで着物下着の機能やメリット、洋服の下着での代用についてお伝えしてきました。
振袖などの格の高い着物を着る場合は、美しい着姿を実現するために専門的な着物用の下着を身につけましょう。
一方でカジュアルな着物や浴衣では、着付けに影響がでないデザインや色であれば、洋服用の下着でも十分に代用が可能です。
最初は代用の下着を使ってみて、不便を感じるようなら着物専用の下着を使うなど、ご自分の好みやシチュエーションにあわせて着物の下着を選んでみてください。