鼻緒が可愛らしく、和装にピッタリの下駄や草履。
しかし、「靴ズレしそう…」「痛みでまわりに迷惑をかけるかも…」と、下駄や草履に不安を感じる方も少なくありません。
そこで、この記事では、下駄や草履でお悩みの方に向けて、事前にできる靴ズレ対策や、足への負担が少ない歩き方、さらには、靴ズレした後の対処法などを詳しく解説します。
下駄で靴ズレする理由
下駄や草履で靴ズレするのは、歩くたびに鼻緒がこすれて、肌にダメージを与えるから。
鼻緒が原因の靴ズレは「鼻緒ズレ」と呼ばれ、一般的に、足の甲や指、指の股に起こります。
痛みを我慢して、下駄や草履を履き続けると、炎症を起こしてしまう可能性もあるため、事前の靴ズレ対策が大切です。
靴ズレしにくい下駄の選び方
痛みへの不安から、敬遠されがちな下駄や草履。
実は、鼻緒の種類などによって、履き心地は大きく変わるとご存じですか?
ここでは、購入前にチェックしておきたい、靴ズレしにくい下駄・草履の選び方を紹介します。
鼻緒が太く柔らかいものを選ぶ
革やエナメルで作られた鼻緒は、細くて硬いため、足への負担が大きくなります。
下駄や草履を選ぶ際には、肌に触れる面積が広い、太くて柔らかい布製の鼻緒のものを選びましょう。
特に、内側にソフトな生地が使われている、高原仕立てや、福林仕立ての鼻緒がおすすめです。
前坪の固定がしっかりしたものを選ぶ
前坪とは、下駄や草履の先端に取り付けられた、足の親指と人差し指で挟む部分のことを指します。
前坪の固定が緩いと、歩くたびに鼻緒が上下するため、靴ズレの原因に。
下駄や草履を購入する際には、前坪がしっかり固定されているか、事前に確認しておきましょう。
二枚歯の下駄は上級者向き
下駄といえば、カランコロンと音が鳴る、二枚歯のものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、二枚歯は、歩き方にコツがいるため、実は、上級者向きの下駄なんです。
初めての下駄をお求めの場合や、できるだけ靴ズレを防ぎたい方は、草履やサンダルに似た形の下駄を選ぶと良いでしょう。
MIZUTORI
こちらの商品は、従来の平らな下駄とは違い、独自の形状に削られた、左右の足裏にフィットする履き心地の良い下駄です。
前坪や鼻緒全体に、クッションが入っており、まるで足を包み込むような、肌に優しい設計が特徴。
着物や浴衣にはもちろん、スタイリッシュなデザインと、豊富な色柄で、洋服との相性も抜群です。
下駄の靴ズレを防止する5つの方法
せっかく下駄や草履を履くなら、快適に過ごすために、事前の対策を行いましょう。
ここからは、すぐに試せる、5つの靴ズレ防止方法を紹介します。
鼻緒を揉みほぐして柔らかくする
新品の下駄や草履は、鼻緒が堅く、足にフィットしないため、特に靴ズレを起こしやすいです。
下駄や草履を履く機会があれば、数日前から、鼻緒を揉みほぐして、柔らかくしておきましょう。
まず、台から抜けない程度に前坪を軽く引っ張って伸ばし、次に、足の形に沿うよう、鼻緒全体を外側に向かって、開くように引き伸ばせば、完成です。
テーピングを貼って皮膚を守る
下駄や草履を履く前に、指や足の甲をテーピングで保護しておくのも、手軽にできる靴ズレ対策です。
テーピングは、前坪に当たる部分なら、親指、人差し指、指の股の3点それぞれに、足の甲なら、鼻緒の形に沿って、「人」の文字を描くような貼り方が良いでしょう。
絆創膏ははがれやすいため、汗やこすれに強い、スポーツ用のテーピングを使用するのが、おすすめです。
靴ズレ防止スプレーを使う
「テーピングは見た目が恥ずかしい…」という場合には、透明で目立たない靴ズレ防止スプレーは、いかがでしょうか。
吹き付けるだけで、肌を保護できる靴ズレ防止スプレーは、着物や浴衣を着た後でも、使いやすくて便利。
テーピングと同様、鼻緒が当たる指の股や、足の甲に使用します。
靴ズレ防止スプレー
あらゆる種類の靴に対応できる、日本製の靴ズレ防止スプレーです。
靴ズレしやすいところに吹き付けると、無色透明の特殊な被膜が形成され、摩擦から肌を守ります。
耐久性が高く、10時間〜12時間も効果が持続する一方、お風呂で簡単に洗い流せる手軽さも魅力です。
前坪にトングガードを付ける
お肌が弱い方や、もっと手軽に靴ズレ対策をしたい方には、トングガードがおすすめ。
お手持ちの下駄や草履の前坪に、トングガードと呼ばれるクッションを取り付けることで、痛みを軽減できます。
また、トングガードは透明の商品が多いため、見た目が気になる方も安心です。
指楽歩
医療現場でも使われている、エラストマー素材を使用した、無色透明で柔らかいトングガードです。
切れ込みから前坪に装着するタイプとなっており、取り外しが簡単なので、下駄や草履をたくさんお持ちの方にもおすすめ。
使用後は洗浄もできるため、清潔を保ちやすいのも、うれしいポイントです。
トングガード
こちらは、前坪部分だけではなく、足裏にもクッションが付いているパットタイプのトングガードです。
足の指や指の股を保護するのはもちろん、クッションが衝撃を吸収するため、長い距離を歩いても足が疲れません。
また、こちらのトングガードなら、足の位置の調整もできるため、鼻緒の高さが合わない時の対策にもなります。
足袋やトングソックスを履く
足袋で足を覆うことも、靴ズレ対策には有効です。
肌を摩擦や衝撃から守るだけではなく、吸汗性にも優れた足袋は、下駄や草履を快適に履くために欠かせません。
浴衣に下駄のスタイルなら、涼しげなレース素材の足袋や、鼻緒が当たる部分だけをカバーする「トングソックス」がおすすめです。
レース足袋
こはぜがないため、靴下と同じように、簡単に着用できるレース素材の足袋です。
くすみカラーが可愛らしいこちらの足袋は、お手持ちの着物や、コーディネートに合わせて選べるうれしい5色展開。
裏地のある二重仕立ての足袋なので、足の指や甲をしっかり保護してくれます。
トングソックス
暑い時期にこそ使いたい、吸水・速乾仕様のトングソックスです。
足裏には、長時間歩いても疲れにくい、クッション性のある素材が使われている一方、人目に触れる足の甲には、レースがあしらわれており、見た目にも爽やか。
鼻緒がこすれる部分だけをカバーしてくれるため、窮屈さがなく、快適です。
靴ズレしにくい下駄の歩き方
下駄や草履を履くときは、親指と人差し指で、前坪を軽く挟み、つっかけるように歩きましょう。
ついつい、指を奥まで入れて、前坪をしっかり掴みたくなりますが、それでは、足への負担が大きくなってしまいます。
また、下駄や草履は、衝撃が吸収されにくく、特にかかとが疲れやすいので、前重心を意識して、下駄・草履を軽く引きずるように歩くと良いでしょう。
下駄で靴ズレした時の対処法
十分に対策を行っても、慣れない履物では、足が痛くなってしまうこともあるでしょう。
ここからは、困ったときにすぐできる、靴ズレの対処法を紹介します。
足を休ませる
まずは、下駄や草履を脱いで、足を休ませましょう。
痛みがあっても、スリ傷ができていなければ、休憩を挟むだけで、楽になります。
肌に当たる部分が堅くて痛い時や、高さが合わない時は、鼻緒を揉みほぐしたり、前坪を引っ張って長さを調節したりすると、履きやすくなります。
絆創膏を貼る
スリ傷ができていたり、血がにじんでいる時には、絆創膏を貼って、皮膚を保護しましょう。
持ち合わせがなければ、ドラックストアやコンビニ、100円ショップでも購入できます。
絆創膏は摩擦に弱いため、予備を持っておくと安心です。
白色ワセリンを塗る
保湿効果が高く、傷の手当に使える白色ワセリンは、靴ズレしたときにも最適。
優しく傷口を保護するだけではなく、塗りこむと滑りがよくなるので、摩擦による痛みが軽減されます。
白色ワセリンを塗るときは、化膿を防ぐために、清潔な手で、傷口に触れるようにしましょう。
白色ワセリン
こちらの商品は、チューブ型の容器に入った白色ワセリンです。
場所を取らないサイズ感で、持ち運びやすいのはもちろん、フタが開けやすく、外出時の靴ズレなど、困ったときにも便利。
ボトル型の容器に比べて、手が汚れにくいのもうれしいポイントです。
まとめ
今回は、下駄や草履でお悩みの方に向けて、靴ズレ防止方法や、最適な歩き方、靴ズレした後の対処法などを紹介していきました。
「痛みがつきもの」と思われがちな下駄や草履ですが、少しの工夫で、履き心地は大きく変わります。
ぜひ、万全な靴ズレ対策を行って、下駄や草履でのお出かけを楽しんでください。