着物旅行をする際の注意点、宿泊日数に合わせた旅行へのおすすめ方法をご紹介します。
実際に着物旅行へ行っている方へインタビューした内容のもと、コツなども細かく掲載しているので、ぜひ参考にしてみましょう!
着物を着たまま旅行ってできる?
できるけど長時間移動は大変!
着物を着たままの旅行はもちろん可能です。
いつもと違う装いで訪れる旅行は、新しい発見や出会いがあり、とても楽しいものです。
しかし、着物旅行をする際にまず心配になるのは、旅行先までの移動ではないでしょうか?
普段着慣れない方の場合は緊張感も相まって、到着するまでにすっかり疲れてしまう、なんてこともよくある話です。
少しのコツを知るだけで、着物を着たままの旅行はもっと身近で気軽に楽しめるようになります。
長時間移動には「帯枕」で腰をサポートしよう!
長時間移動が必要な旅行先までは、飛行機や電車、車などの座席に座ります。
座席のリクライニングを倒して、くつろぎたいところですが、着物でそれは厳禁です。着崩れの原因になります。
倒しても、ほんの少し。また、座面にどっしりと深くは座らず、浅めに座ります。
そこで活躍するのが「帯枕」です。
厚みがあり、長めの帯枕を使用することで、背もたれと背中の間にできた空間を埋める、クッションの役割をしてくれます。
帯枕を通して、体重をしっかり背もたれに預けることができるのです。
これで、ぐっと長時間移動が楽になります。
着物旅行のやり方
【短時間】現地で着物を着用する
現地で短時間着物を着用するパターンは着物旅行初心者におすすめな方法です。
移動時は洋服で、旅先についた後は着物へ着替えます。
旅行前の疲れを感じにくく、体力を温存できるので、着物旅行を楽しむ事が出来るでしょう。
ところが、旅の荷物が増えるというデメリットもあります。
着物や帯、着付けに必要な道具一式を、荷物に加える必要があります。
コンパクトにまとめる事も、パッキングの仕方で可能ですが、旅行時に荷物が増えることで移動がしにくくかんじることもあるでしょう。
もしも身軽に旅行を楽しみたい方は、現地で着物レンタルを利用してみるのもおすすめです。
【出発~帰宅まで】着物を着用する
着物を自宅で着用してから旅行へ出発すると、旅の荷物はよりコンパクトにできます。
着付けに必要な小物類も、既に身につけているのですから、忘れ物の心配も少ないというのがメリットです。
旅行バッグへ着物クリップ(洗濯バサミで代用可)をひとつ忍ばせておくと、トイレに行く時や、急な雨に降られた時など、着物のすそをまとめておくのに便利です。
【洋服と一緒】着物をバランスよく着用する
着物旅行は、目的地やスケジュールによって、柔軟にバランスよく着物か洋服を着用するのもおすすめです。
高低差があり舗装されていない場所を歩く時や、荒天が予想される日は、洋服と靴を着用する選択肢があると、プランの幅も広がります。
またホテルの朝食の時にも、洋服があれば便利です。着物と洋服をバランスよく取り入れ、自分なりのおしゃれを楽しんでみてください。
【レンタル】現地で着物を調達する
旅行先で着物をレンタルするのもおすすめです。
着物や帯はもちろん、着付けにまつわる全ての小物、草履に至るまでの一式を借りることができます。
着物レンタル店によっては、着物着付けがセットになっている場合もあります。
自分で着付けられる方はよいですが、着付けを美容院に依頼するよりも、金額や利便性も高くおすすめです。
さらに、着用後はそのまま返却すればよい「クリーニング費用込みのプラン」も多く、手間がかからないためあれば利用してみましょう!
着物初心者の方は全てを自分で揃える場合、レンタルとは比にならないほど高額になります。
そのため、初めての着物旅行をする時に、お試しとして着物レンタルを利用してみるのもよいでしょう。
【1泊2日】着物旅行のおすすめ方法
大きめな風呂敷や手提げかばんで出かけよう
1泊2日の旅行におすすめの移動方法は、荷物も少量なため車や電車で気軽に移動しましょう!
旅行バックは、肩掛けのものはおすすめしません。えり元がつまってくるなど着崩れやすくなります。
また肩に片手を添える仕草は、袖口から腕が肘のあたりまで見えてしまい、見た目にも好ましくありません。1泊2日の旅行では、大きめの風呂敷や手提げかばんを活用しましょう。
電車内のトイレを利用する際にすそ周りの汚れが気になる方は、乗車前に済ませておくことをお勧めします。
1泊2日の着物旅行に必要なもの
1日目に着物を着て旅行へ行く際は、着替えようとして足袋を1つ多めに持っていくと良いでしょう。
2日目に着物を着る方に必要なものは、以下にまとめているので、必要なものを準備することをおすすめします。
・着物 1枚
・帯
・肌襦袢、すそ除け(ワンピース型も可)
・長襦袢
・衿芯、腰ひも4本ほど
・足袋
・帯揚げ
・帯締め
・帯枕
・フェイスタオル4枚ほど
・着物クリップ(洗濯ばさみで代用可)
・草履 等。
【2泊3日】着物旅行のおすすめ方法
荷物になる着物は厳選して荷造りしよう
2泊3日の着物旅行は着用する着物の種類を最小限にすることが重要です。
着物は「着物1枚に帯3本」と言われるほど、帯を変えることで着物全体の印象が変わります。
例としては、3日間同じ着物をきて、帯2本を隔日で締めることで、随分と荷物を減らす事ができるでしょう。
2泊3日の着物旅行に必要なもの
基本は1泊2日の時と変わりませんが、着物の下着にあたる、肌襦袢、すそ除けは着替えがあるとより快適に過ごせます。
洗濯が不可能な場合は、足袋も日数分あるといいですね。
【3泊4日】着物旅行のおすすめ方法
レンタルや宅急便を上手く利用しよう
3泊4日の着物旅行は着物用品だけに限らず、日用品も増えるためかなり荷物量も多くなります。
大きな荷物をもって電車などの乗り換えは、足元が見えづらく、階段などは細心の注意が必要です。
可能であれば、車での移動をお勧めしますが、無理な場合は旅行先で着物レンタルしたり郵送で旅館へ着物を送ったりして、移動時は洋服にしてみるのも選択肢の一つです。
3泊4日の着物旅行に必要なもの
着物や帯はコーディネートによって必要な枚数を用意しましょう。
気を付けたいのは、日数分の枚数の着物、帯をパッキングする事です。
荷物が大幅に増える一因になります。
帯揚げ、帯締め、帯留めなどの小物も、最近は種類が充実しているため、活用する事で着姿の印象が大きく変わります。
上手く取り入れて荷物を減らしましょう。
着物旅行に便利なおすすめアイテム
着物エプロン
着物エプロンは衿元から、帯、上前を汚れ、水滴からガードしてくれます。
着物は水分や油分などは、のちにシミとなって現れる恐れがあります。収納ポーチ付きであれば鞄に携帯しておくことができるためぜひ活用してみましょう。
衣装敷
衣装敷とは、着物の汚れを防ぐために、床や畳の上に敷く紙製のシートです。
宿泊先がホテルなどの場合は、土足で室内に入ります。
着物は背丈よりも長く仕立てられていますので、着付けの場合は床に直接すそが触れてしまうことがあるため、衣装敷を利用して着物の汚れを防ぐことができます。
衣装敷が無い場合は、大きめの風呂敷などで代用することも可能です。
着物旅行のコツ
荷物はスーツケースで持ち歩く
着物旅行の荷物は片手をフリーにするために、スーツケースに荷物をパッキングしてスーツケースにまとめましょう!
また、階段などの段差を昇る時やエスカレーターへ乗り込む時などは、足を高くあげる動作の際に、着物の前すそを自分で踏んづけてしまい転倒の恐れがあります。
対策としては、片手で太もも辺りの着物を、そっと持ち上げましょう。
この動作がスマートに出来るようになると、安全性が高まるのと同時に、着物上級者に一歩近づくといった所でしょうか。
帯は「カルタ結び」「ペタンコ結び」がおすすめ
着物旅行で着物を着崩しにくくするコツは、半幅帯で「カルタ結び」「ペタンコ結び」にすることです。
背中が平坦になり、比較的着崩れを気にせずに過ごすことができます。
持参した半幅帯で「カルタ結び」「ペタンコ結び」にし、着崩れを防ぎましょう。
草履より下駄の方が歩きやすい
着物旅行中に長時間歩き回ることが予想される時は、草履ではなく、下駄を選んでみましょう。
そもそも草履と下駄の違いは材質です。草履は、土台がコルクでできていますが、下駄は木で出来ています。
そのため、とても丈夫で長時間歩き続けても、下駄そのものがダメージを受けることは少ないです。
雨にぬれても安心なことも、魅力のひとつでしょう。
最近では、底裏に防音、滑り止めの加工付きが売っているため、選ぶときにチェックしてみてください。
※ホテル内や美術館の中では、時・場所・場合に合わせて下駄の音に注意をしましょう。
着物旅行の注意点
事前に天気予報をチェックしておこう!
着物(正絹)に雨は大敵です。旅行先の天気予報は事前にチェックしておきましょう!
雨が降る予報であれば、着物の素材を正絹ではなく、化繊(化学繊維)の着物を選ぶのもよいでしょう。
昔と違って化繊の品質も向上し、手触り、見た目とも正絹と遜色ない物があります。
気温が下がる可能性があれば、羽織や道行コート、ショールなど防寒対策も必要です。
冬はさらにファーマフラーがあれば、着脱が簡単で便利です。数時間単位で雨予報が確認できるサイトもあります。
こまめにチェックして、雨が降る時間帯を把握しておきましょう。
また、屋内で楽しめるプランも、数件たてておくといいですね。
予約時はホテル内に全身鏡があるかを調べよう
ホテル内にて自分で着付けをする方は、ホテル予約時に、自室内に全身鏡があるかを事前に確認しておきましょう。
すそ線の確認や帯幅、お太鼓の大きさを決めるとき、鏡の大きさが、上半身だけが映る程度では至難の業です。
着慣れた方は鏡を見なくても、着物を着ることは可能ですが、それでも仕上げに全身のチェックは行いたいものです。
着物旅行で手荷物を減らすおすすめ方法
宅配便サービスを利用する
宿泊先などの荷物の送り先がある場合は、宅配便サービスを利用するのも便利でおすすめです。
費用はかかりますが、帰路にも利用すれば、旅行最終日も身軽に楽しむ事ができるでしょう。
宿泊先のフロント等で、依頼できる場合が多いので確認してみてください。
まとめ
初めての着物旅行で快適に過ごせるコツについて、紹介してきました。
自分に合った着物旅行はどのパターンか、事前に想像してみてください。
できそうだなと思うこと、これは難しいなと思うこと、自分自身で把握しておく事が大切です。
出来ることから始めてみましょう。
回数を重ねるごとに、着物の旅が上手になることは間違いありません。
いつもの服では見過ごしてしまう景色や出会いに、着物旅行では気づかせてくれることでしょう。