腰紐とは?【徹底解説】種類・素材・便利な使い方などをわかりやすくご紹介します

浴衣を着た女性

着物や浴衣の着付けで使う腰紐は、シンプルですが奥の深いアイテムです。

素材やデザインの種類が多いため、どんな腰紐を選んだら良いか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。

ここでは腰紐の素材やデザイン、使い方のバリエーションについて解説しますので、ご自分の環境に合わせた腰紐選びの参考にしてください。

目次

腰紐とは

腰紐と紅葉

腰紐とは着付けの際、主に腰回りを締める紐のことで、洋服のベルトのような役割を持ちます。

ほかにも着崩れを防いだり帯結びに使ったりと、着付けのさまざまな場面で活躍する便利アイテムです。

腰紐の使い方

早乙女の格好をした女性達

腰紐は工夫次第でいろいろな使い方ができます。

着付けや帯結び、補正などにも応用がきくので、何本か持っておくと便利です。

腰周りの固定

腰紐は、その名前の通り腰回りを固定します。

着物を体に巻き付けて裾の長さを決めたら、腰の周辺を腰紐で巻いて結びます。

この時、腰紐しっかりと留めないと着崩れを起こしてしまうので注意しましょう。

衿を整える(胸紐)

襦袢の着付けでも腰紐を使います。

コーリンベルトと同じく、胸周りに巻いて衿を固定するほか「衣紋抜き」という衿の後ろに付いている布に通してから結ぶと、衿をきれいに抜けるため一石二鳥です。

帯結びの補助として

腰紐は帯結びの際に仮紐として帯の折り目や結び目を固定するために必要です。

結び方が複雑な振り袖の帯には「三重仮紐」という専用の腰紐を使用します。

その他の便利な使い方

基本的な着付けや帯結び以外でも、腰紐はさまざまな場面で役に立つアイテムです。

おはしょりの長さ調整

おはしょりが長く、不格好な時は腰紐で長さを調整します。

胸の下に巻いておはしょりを挟むことでバランスが整うのです。

たすき掛け

ドラマやお祭りでよく見かける「たすき掛け」は、腰紐が一本あれば簡単に結べます。

たすき掛けをしておけば着物で作業をするときに袖が邪魔になりません。

腰紐の種類

腰紐

もともと腰紐は布だけでしたが、近年、着付けの効率化や着崩れを防ぐ目的で、さまざまな素材やデザインの腰紐が開発されました。

布の腰紐

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もっとも一般的な腰紐です。

素材によって長さや幅、値段や使いやすさがに差があります。

メリット

コーリンベルトやゴムベルトなど、他の和装小物よりも安く、まとめ方を覚えれば持ち運びも収納も簡単です。

着付けの他に帯結びにも応用が効くので、使用箇所ごとに和装小物を揃える必要がありません。

デメリット

紐をきつく結んで着崩れを抑える必要があるため、苦しく感じることがあります。

また、着物初心者には扱いが難しく、正しい手順で締めないと着崩れの原因になるのが難点です。

ゴムベルト

ゴム素材の腰紐でウエストベルトとも呼ばれています。

腰回りの固定が主な用途です。

メリット

ゴムベルトには長さを自由に調節できる金具(アジャスター)が付いています。

そのため、着付けの後でも微調整ができるほか、布紐のように結び目が体に当たって痛くなることがありません。

デメリット

布製の腰紐に比べて値段が高く、長く使うとゴムの伸縮性が弱くなるため、定期的に取り替える必要があります。

布+メッシュ

布とメッシュ素材のハイブリッドタイプの腰紐です。

メッシュ素材部分でしっかりと固定し、布の部分を結んで使います。

メリット

布紐の優しいつけ心地とメッシュ素材のフィット感を持ち、着崩れを防ぎながらも締め付けの苦しさが少ない腰紐です。

デメリット

布製やゴムベルトより値段が高く、まだ取り扱う店舗も少ないのが不便です。

また、紐は結んで留めるため結び方によっては緩んでしまうことがあります。

腰紐の素材

着付けをしてもら女性

腰紐は素材によって値段も使い勝手も違います。

着物や浴衣の着付け用、帯結びの仮紐用など、目的にあった素材を選びましょう。

正絹

正絹の紐は薄手でスッキリと結びやすいのが特徴です。

素材が柔らかいため着物や帯を傷つけません。

絞りや友禅など柄のバリエーションが豊富です。

【価格】1000~2,000円程度

モスリン

モスリンの腰紐はウールなどの天然素材を使った毛織物で作られたものです。

正絹よりも安価で締めやすく、滑りや緩みが少ないため、プロの着付け師の方にも利用されています。

【価格】120~1,000円程度

綿

綿の腰紐は安価で手に入れやすく、正絹と同様に色や柄が豊富です。

結びやすい素材ですが正絹やモスリンよりも結び目が固くなるので、きつく感じることがあります。

【価格】120~1,000円程度

麻の腰紐は軽くて通気性が良く、夏の着付けに向いています。

しっかりと結べますが、シワになりやすいためアイロンかけなどのメンテナンスが必要です。

【価格】120~1,500円程度

ナイロン

ナイロン製の腰紐は天然素材に比べて滑りやすいため、着付け用には向いていません。

帯結びの仮紐として利用されることが多いようです。

【価格】100~500円程度

腰紐は何本?用途別の本数について

着物姿の女性

着付けに必要な腰紐は用途によって使う本数が異なります。

着付けに慣れていない場合や、着物のサイズが合わない場合など、補正用として多めに紐を用意しておくと安心です。

着物・浴衣の着付けの場合

着物や浴衣の着付けに必要な腰紐の最低本数は、着物で3本、浴衣で2本です。

使用する腰紐の数は着付けや着物の種類によっても変わります。

着物の着付け

着物の着付けに使う腰紐の数は3〜4本です。

振り袖の場合は仮留め用として1~2本余分に用意しておくといいでしょう。

【主な使用例】

・襦袢の衿を固定する

・着物の腰周りを締める

・着物の衿を固定する

浴衣の着付け

浴衣で使う腰紐は2~3本あれば十分です。

浴衣は襦袢を着用しないため、腰紐の本数が少なくてすみます。

【主な使用例】

・浴衣の腰周りを締める

・浴衣の衿を固定する

帯結びの場合

結び方によって紐の本数が決まります。

帯結びで使う腰紐は仮留めとして使い、結び終わったら外します。

まだ帯結びに慣れていない方や、複雑な帯結びをしたい方は、腰紐の本数を多めに用意しておきましょう。

袋帯・名古屋帯

袋帯や名古屋帯の結び方には、最低でも2~3本の腰紐が必要です。

・一般的な結び方での腰紐の本数

二重太鼓(袋帯)…3本

一重太鼓、角出し、銀座結び(名古屋帯)…2本

・振り袖の帯結びの場合

振り袖の場合は、帯結びの手順が複雑なため、専用の三重仮紐を1本用意します。

半幅帯結び

一般的に半幅帯の結び方では腰紐を使用しません。

しかし、最近の華やかなアレンジ結びの場合は、仮紐として腰紐を1本使用します。

腰紐のサイズ

ピンクの腰紐

一見、同じように見える腰紐ですが、用途や製造元によって長さや幅が異なります。

ご自分の体型や用途にあったサイズの腰紐を選びましょう。

一般的な長さと幅

一般的な腰紐の長さと幅は以下のとおりです。

長さ:約170cm~220cm

幅:約3.4cm~5.5cm

長すぎると結んだ時に紐が余ってしまい、着崩れの原因になりますし、幅が広すぎても丸まって体に食い込むことがあるので、体型にあわせたサイズ選びが大事になってきます。

体型別サイズ

腰紐を選ぶ場合、大柄な人は長い腰紐、小柄な人は短い腰紐を選ぶといいでしょう。

また、腰紐を選ぶ前に自分の寸法を測っておけば長さ選びの参考になります。

用途別サイズ

用途によって使いやすい腰紐の長さが変わります。

一般的に着付け用は体のサイズにあわせて選び、帯結び用は短めのサイズが使いやすいと言われています。

着付け用

腰回りに使う腰紐は、やや長めのものでしっかりと結びます。

短めの腰紐は、お子さんの七五三用や、大人用の胸紐として使用します。

帯結び用

帯結びでは、結んだ時に紐が長く余ってしまうと、帯結びの邪魔になってしまいます。

帯結びでは、着付け用の腰紐より短い紐を使うといいでしょう。

腰紐の管理と収納

着付けクリップと腰紐

着物を脱いだ後、腰紐をそのままにしておくと紐がグチャグチャになってしまい、次に使う時に面倒です。

そのため、使った後は腰紐をきちんと管理しておきましょう。

腰紐の洗濯

夏場など、汗や汚れが気になるときは腰紐を洗います。

ただし、正絹は洗濯できませんので陰干ししたり水分を拭き取ったりして対処しましょう。

腰紐の収納

腰紐の収納には主に1種類の方法があります。

陰干しや洗濯が終わったら、五角形に畳むか、ハンガーにかけて収納します。

ハンガー

腰紐を使い終わった後は、ハンガーにつるして陰干しをします。

湿気が飛んだら収納するだけでOKです。ズボン用の片側が開いているハンガーを使うと、紐が取り出しやすくて便利です。

畳み方

腰紐は五角形に畳んで収納すると便利です。

畳み方は慣れるまでは大変ですが、一度覚えてしまえば収納が簡単になります。

【折り方の手順】

1.紐の端を揃えて1つに折る

2.右角を左下の紐のラインに合わせて折る(三角形はそのまま)

3.折り返してもう一方も下の紐のラインにあわせる

4.紐から一番遠い辺を折り返す

5.交互に折り返してゆき、最期に端を折り目に入れる

腰紐の購入場所

呉服店

腰紐は、着物を扱う専門店のほかにも様々なお店で購入できますので、自分好みの腰紐があるお店を調べてみてください。

呉服店

呉服店は、店員さんが要望にあった商品を選んでくれるのが魅力です。

専門的な知識があるので、安心して相談できます。

ネットショップ・アプリ

呉服店よりも種類が豊富なのがネットショップやフリマアプリです。

自分の用途や好みに合わせた腰紐選びができますが、買う時にサイズや素材をチェックするのを忘れないようにしましょう。

量販店

洋服の量販店では夏限定で浴衣とセットで腰紐が売られています。

必要最低限の着付け小物が手に入るので着付け初心者には安心です。

しかし、セット販売なので素材や長さ、必要な本数が選べません。

100円均一(ダイソー・セリアなど)

残念ながら100円ショップでは腰紐の取り扱いがありません。

しかし、100円ショップには腰紐の代用として使える物が揃っているので、緊急時などに利用できます。

腰紐の代用品

包帯

腰紐が用意できない場合は他の小物で代用可能です。

また、腰紐は自作も可能ですので、サイズやデザインを自分好みにアレンジできるメリットがあります。

包帯

包帯は腰紐の代わりに利用します。

100円ショップやコンビニエンスストアで気軽に買えるので、外出先での着付けトラブルにもすぐに対応できますし、包帯としても使えて一石二鳥です。

ストッキング

ストッキングは伸縮性があるので腰紐の代用に便利なアイテムです。

伝線して使えなくなったストッキングを再利用できるため、余計な費用がかかりません。

ハンドメイド腰紐

市販の腰紐の代用として、自分で腰紐を作ることもできます。

ハンドメイドの腰紐は家にあるハギレでも作れますし、体型や用途に合わせた長さにアレンジできるのが魅力です。

まとめ

腰紐はシンプルですがとても奥の深い着付けアイテムです。

着物や浴衣、帯結びに利用できるほか、たすき掛けや補正などの便利な使い方もでき、着付けの万能アイテムといえるでしょう。

選ぶ際には「腰紐をどう使いたいか」をイメージし、用途に合わせた素材やデザイン、本数を選ぶことで腰紐の機能を十分に発揮できます。

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この記事を書いた人

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