男女の着物に違いはある?種類・着付け方・袖などについて詳しく解説

旅行や冠婚葬祭などでは、男性も女性も着物を着る機会が多くあります。

着物初心者の方の中には、男女の着物の違いがよくわからないというかたもいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、男女の着物における違いを細かく解説していきます。

「男性が女性の着物を着ても良いのか?」についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

男女の着物の違いとは

男女の着物には、以下のような違いがあります。

・身丈の違い

・帯の違い

・衿の違い

・袖と身八つ口の違い

・小物の違い

・種類の違い

・着付け方の違い

着物の形そのものも違えば、着こなし方、身に着ける小物の種類などにも差があるため、どのような違いがあるかよく理解しておきましょう。

身丈の違い

鼻緒を直している着物を着た女性画像

身丈とは着物の縦の長さのことを指します。

男性の場合は慎重に合わせた身丈の着物を着用しますが、女性の場合はやや長めの身丈にしなければいけません。

女性の場合は美しく着付けるために「おはしょり」を持たせますが、身長に合わせてしまうと、おはしょりを作る余裕がなくなってしまいます。

おはしょりを作る必要のない男性と比べ、女性の着物は身長+5㎝ほど余分に丈を用意する必要があるのです。

帯の違い

男女では帯の形や太さにも違いがあります。

女性の場合は袋帯や半幅帯、名古屋帯などを主に使用し、帯の幅が広いものが多いです。

一方、男性は角帯や兵児帯などを主に使用し、女性よりも細目に帯をつくります。

また、女性は胸の下から腰にかけての高さに帯を巻くのに対し、男性はずっと下の骨盤の辺りに帯を巻きます。

帯の種類や幅の広さ、巻く位置は明確に違うため、きちんと覚えておきましょう。

衿の違い

着物の衿元を見ている女性画像

男女の着物は衿にも違いがあり、女性の「広衿」と男性の「棒衿」があります。

広衿は仕立ての時点で衿を広めに作っておき、着付けの段階で好きな幅に折ることが可能です。

こうすることで、その人の胸元に合わせた美しい着付けができます。

一方で男性の「棒衿」は仕立ての段階から二つ折りにつくられており、幅が細いのが特徴です。

男性の首元で綺麗に着付けるため、このようなつくりで仕立てられています。

なお、女性用の浴衣の場合は「バチ衿」で仕立ててあり、衿を折らずそのまま着付けるのが一般的です。

袖と身八つ口の違い

女性の着物には、男性の着物にはない「身八つ口」と呼ばれる加工が施されています。

身八つ口とは、着物の袖と胴体のつなぎ目に施された「切れ目」のことです。

女性の着物は帯を高い位置で巻くため、身八つ口がないと袖を自由に動かすことができなくなります。

男性の場合は帯を巻く位置が低く、袖の動きにも干渉しないため、脇に切れ目がないように仕立てられているのが特徴です。

小物の違い

帯留めをつけている着物画像

男性の小物は数が少なくシンプルですが、女性の着物は小物の数が多い特徴があります。

男性の着物に合わせる小物女性の着物に合わせる小物
肌襦袢・長襦袢・足袋・草履肌襦袢・長襦袢・足袋・草履・帯揚・帯締・帯板・帯枕・腰紐・伊達締め・衿芯 など

女性用の小物は種類が多いため、着付け前やレンタルの際に必ず確認をとりましょう。

種類の違い

男女の着物は、着物と帯の種類に違いがあります。

男性の着物と帯
種類適した帯着用シーン
礼装着黒羽二重五つ紋付
色紋付
お召一つ紋付
角帯
新郎・新郎父・親族の結婚式・成人式・祝賀会・授賞式・お茶会など
外出着紬(アンサンブル)
ウール(アンサンブル)
兵児帯観劇・パーティー・食事会・買い物など
※着物の格は紋の数によって変わる場合があります。
女性の着物と帯
種類適した帯着用シーン
礼装着
留袖
丸帯・袋帯五つ紋なら親族の結婚式三つ紋以下なら子どもの入学式・卒業式・パーティーなど
振袖袋帯成人式・結婚式・お茶会など
準礼装訪問着袋帯結婚式・お見合い・パーティー・お茶会など
付け下げ袋帯・名古屋帯友人参加の結婚式・お茶会・パーティーなど
色無地(紋付)三つ紋以上なら袋帯一つ紋なら名古屋帯披露宴・お茶会・七五三・入学式や卒業式への参加など
普段着小紋名古屋帯・半巾帯お茶会・食事会・お稽古など
名古屋帯・半巾帯カジュアルなパーティー・買い物・お稽古など
浴衣半巾帯夏祭り・花火大会・部屋着など
※着物の格は紋の数によって変わる場合があります。

女性用の着物は種類や格、着ていくシーンがさまざまあるため、TPOに合わせた選び方が大切になります。

特に冠婚葬祭の場に合わない格式の着物を着ていくと失礼にあたるため、よく確認してから着付けを行うとよいでしょう。

着付けの違い

女性の着付けは、着物の衿と首の間にスペースを作る「衣紋抜き」を行なったり、見八つ口を意識した帯の巻き方やおはしょりをつくったりなど、さまざまな点に気を遣う必要があります。

男性の着付けも気を遣うことに代わりはありませんが、女性の着付けと比べるとシンプルで短時間に終わることが多いです。

いずれにしても着崩れを防ぎ、美しく着付けすることには変わりありませんが、女性の着付けには技術や時間が必要になることを覚えておきましょう。

男性の着物のは左右前・左右前は男女で違う?どっち?

着物を着ている女性と男性の画像

着物の作法として重要な「右前」と「左前」。

この章では、男女の着付けに左前・右前の違いがあるか解説していきます。

女物も男物も右前に着付けるのが基本

着物の右前・左前に男女の差はなく、どちらも「右前」が正しい着方になります。

左側の衿が手前に来る「左前」は、いわゆる「死装束」の着付けとなるため、縁起のよくない北かとされているためです。

洋服では女性が左前、男性が右前となるのが普通ですが、着物の場合は共通して右前になると覚えておきましょう。

ちなみにここでいう右前とは、着ている人から見て右側の襟元が内側にきている状態を指します。

右前と左前の覚え方

正しい着付け方の右前は、左側の衿が外側に、右側の衿が内側となる形を指します。

「右側が手前に来る」という意味で右前と呼ばれるため、「右手前」と覚えておくと間違えずに済みますよ。

女物の着物を男性が着ても問題ない?

「女性ものの着物が着たい」という男性もいることでしょう。

以前はいい顔をされませんでしたが、多様性の現代では男性が女性用の着物を着て歩く姿もみかけるようになりました。

また、女性が男性のような着付け方をしたり、あえて小物を使わずに着付けしたりなど、着物の楽しみ方も時代に合わせて変わってきています。

ある程度のTPOをわきまえる必要はありますが、男性が女性物の着物を着ても問題はないため、自分なりの着物の楽しみ方に挑戦してみましょう。

まとめ

男女の着物には種類や着方などさまざまな幾つかの違いがあります。

着物に慣れていない方は迷うことがあるかもしれませんが、種類や着付け方などのポイントを押さえておけば安心です。

男女の着物の違いやマナーを理解した上で、自分なりのおしゃれな着物コーデを楽しんでくださいね。

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この記事を書いた人

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