アンティーク着物について知りたい方に向けて、アンティーク着物とは何か、特徴や購入方法、着こなしのポイントについて紹介しますのでぜひチェックしてください。
アンティーク着物とは?
まずはアンティーク着物の定義をお伝えします。
明治・大正・昭和時代の着物
アンティーク着物とは、戦前の明治時代・大正時代・昭和時代に作られた着物(訪問着や留袖、振袖、花嫁衣装までの着物)のことをいいます。
戦後に作られた着物はリサイクル着物やレトロ着物と呼ばれ、現在着られている着物とほぼ同じ柄や色使いです。
アンティーク着物の各特徴
アンティーク着物には現代の着物とは異なる特徴があるのです。
こちらでは生地や柄など、アンティーク着物の特徴を細かくご説明します。
着物の特徴
昔の女性は平均身長が低く、147センチと小柄でした。
そのため、アンティーク着物も小さめに作られています。
購入を検討する時には丈の長さを十分確認したり、丈が足りない場合には専門店に着付けを工夫できないか相談したりすると良いでしょう。
生地の特徴
アンティーク着物には、細かい模様が全体に入っている染めの小紋や、平織りの絹織物である銘仙が多いです。
その他にも、「しぼ」と呼ばれる表面の凹凸が細かくて手触りが良く光沢がある錦紗ちりめんや、絹糸が繊細で布に透明感がある江戸ちりめん、しっとりと滑らかで地模様が美しい紋論子などもアンティーク着物の生地として多く使われています。
銘仙の魅力とは?
銘仙は通常の平織りとは異なり、経糸の色と緯糸の色をわざとずらしながら織るため、柄がにじんだようになり優しい色合いに仕上がります。
軽くて着心地が良く、価格がリーズナブルで購入しやすいのも銘仙の特徴です。
柄の特徴
アンティーク着物のデザインは主に「大正ロマン」と「古典柄」の2種類です。
大正ロマンの着物は、バラ・チューリップ・スイートピーなどの西洋の花柄やアール・デコ風の幾何学模様が混ざり合った柄など、大胆な柄やレトロなデザインが特徴的です。
色合いは深緑や青、紫、レンガ風の赤やオレンジなど、鮮やかなものが好まれていました。
手毬や扇、短冊などの日本独特のモチーフを使った柄が古典柄です。
帯の特徴
アンティーク着物に合わせやすいのは、豪華な刺繍などが施されたアンティーク帯です。
アンティーク帯は長さが短めのものが多いのが特徴です。
名古屋帯や丸帯、両面帯など、種類も豊富なため、着物のテイストに合わせて色々と試してみることができます。
時代ごとのアンティーク着物の魅力
明治時代・大正時代・昭和時代に作られたアンティーク着物は、時代ごとに流行りが変化していきました。
こちらではそれぞれの時代のアンティーク着物の特徴や魅力をお伝えします。
明治時代
明治初期や中期は贅沢を禁止する奢侈禁止令の名残で、着物は地味なものが着られ、着物は無地の木綿、帯には黒や茶色などの暗いトーンのものを合わせるなどが主流でした。
その後、明治維新後には西洋化が進み、奢侈禁止令が薄れたおかげで次第におしゃれを楽しむ人が増えます。
地色は少しずつ明るい色になり、裾模様の色彩は鮮やかになっていき、着物の生地には柔らかくて手触りの良い縮緬が使われるようになります。
この頃、全国に高等女学校が誕生し、学校に通う女子学生が増えたことで、「海老茶式部」という袴スタイルが徐々に広まっていきます。
大正時代
西洋文化が日本に多く入ってきた大正時代には、洋服が普及し始め、着物の柄も鮮やかで華やかなものが多くなりました。
チューリップやバラなどの洋花柄はこの頃に登場したものです。
女学生で流行っていた海老茶式部も行燈袴や矢絣柄の着物にブーツを合わせ、和と洋を合わせた「ハイカラさん」スタイルへ移行し、これが大正時代を象徴する文化になります。
さらに、当時ヨーロッパで流行していた絵画的表現「アールヌーボー様式」の影響で、それまでなかった幾何学調の図柄が登場し、化学染料の普及で色鮮やかなモダンな着物が流行りだしました。
このような西洋の文化を日本に取り入れたスタイルを「大正ロマン」と呼び、大正時代のファッションの中心となっていきました。
昭和時代
昭和初期は幾何学模様や鮮やかな色彩の着物が好まれ、水玉模様、自動車、トランプなど、今までにない新しい着物デザインが続々と登場します。
パリから輸入されてきたビーズバックやレース、パラソルなどの西洋のアイテムも流行し、和装に部分的に洋物アイテムを取り入れるファッションが人気でした。
しかし、戦争が始まると再び華やかなファッションは禁止され、人々は木綿の着物を着用し、袖が短い筒袖が多くなりました。
やがて戦争が終わると洋裁ブームや家庭用のミシンが普及し、洋服文化が定着していきます。
アンティーク着物を購入できる場所
アンティーク着物を購入したい場合、「実店舗」のほか「ネットショップ」でも購入できます。
アンティーク着物専門店
専門的なアドバイスをもらえるアンティーク着物の専門店もおすすめです。
店舗に足を運べば自分が着たい着物のイメージが決まっていなくても、店員やマネキンのコーディネートを参考にできたり、着物と帯を色々と組み合わせて試着できたりします。
店によって置いてある着物も異なるため、何店舗か回ると、より自分のイメージに近い着物に出会えるかもしれません。
骨董市
各地で定期的に開催されていることが多い骨董市は、専門店に入るよりも気軽に色々な着物を探せます。
宝探しのように掘り出し物を見つける楽しさも味わえておすすめです。
リサイクルショップ
アンティーク着物はリサイクルショップでも取り扱っている場合があります。
店舗数が多いため足を運びやすいですが、品揃えは店によって違い、アンティーク着物を置いていない場合もあります。
アンティーク着物を置いてあるか事前に確認してから行くと良いでしょう。
ネットショップ
実店舗に行くことが難しかったり、好みの着物に出会えなかった場合には、ネットショップで購入することもできます。
アンティーク着物のネットショップ専門店は数多く、サイトで着物の全体像や状態を確認できるので、着てみたい着物のイメージを膨らませることもできます。
メルカリなどのフリマアプリでも出品されていることがあるので、自宅にいながらアンティーク着物の購入をしたい方はネットショップの利用をおすすめします。
アンティーク着物を購入する際の注意点
作られてから時間が経っているアンティーク着物を購入する場合、いくつか気をつけなければならないことがあります。
購入してから後悔しないためにも、以下の点をよく確認してから購入してください。
着物の状態を確認する
生絹は保管状態次第で長く着用できる反面、カビやシミが発生している可能性があります。
また、目立った傷みがなくても、全体的に生地が劣化して弱くなっていたり、汚れていたりする場合もあるため、実店舗ではしっかりと現物の全体を確認するようにしましょう。
また、ネットショップでは商品を手に取れないため写真をよく確認し、不明点があれば購入前に質問してから購入すると良いでしょう。
サイズを確認する
アンティーク着物は小さめに仕立てられており、サイズもよくチェックする必要があります。
仕立て直しをするにも時間やお金がかかってしまうため、着られるサイズかどうかを確認してから購入しましょう。
ネットショップで購入する場合は自分に合ったサイズを測っておき、それに近いものを購入しましょう。
アンティーク着物の着こなし方
アンティーク着物には大胆な色彩やレトロなデザインが多くあり、帯や小物を合わせることで、自分好みにコーディネートをアレンジできます。
レトロモダンな雰囲気を楽しむ着こなしを紹介します!
アンティーク着物のコーディネート
着物と帯を薄いトーンの色で統一した場合
帯留めはトーンを落とした暗めの物を使ったり、髪飾りを目立たせたりすると、統一感の中にアクセントがあり目を引きます。
柄と柄を組み合わせる場合
着物も帯も好きな柄が入った物を選び、アート感覚でコーディネートを楽しむ方法もあります。
どんな組み合わせでもアンティーク着物であればカラフルレトロになり、おしゃれに見えるのでぜひ挑戦してみたいコーディネートです。
小物を合わせる
ハイカラさんでイメージするような、矢絣の小振袖と袴にブーツを合わせた女学生スタイルは今も人気のコーディネートです。
また、アンティーク着物に鮮やかな羽織を合わせると、着物の印象が変わり、色々なパターンのコーディネートを楽しめるのでおすすめです。
アンティーク着物に合う小物
アンティーク着物に合う小物は、ブーツや羽織以外にも色々あります。帯揚げにレース素材を使ったり、かんざしではなくベレー帽をかぶったりと、アンティーク着物だからこそ合わせられる小物にもぜひチャレンジしてみてください。
- レースの小物
手袋、アームカバー、足袋、帯揚げ、襟
- 革小物
バッグ、ベルト、カチューシャ
- その他
ベレー帽、赤い大きなリボン、派手なスカーフ、柄の襟、パールのカチューシャ
まとめ
アンティーク着物の特徴や時代ごとの魅力、購入方法、コーディネートを紹介しました。
個性的な柄が多いアンティーク着物なので、着こなしも自由で大胆に楽しめるのが魅力です。
購入しなくても、着物や小物はレンタルすることもできるので、気軽に着物スタイルにチャレンジしたい方はレンタルもおすすめです。
自分なりのレトロなおしゃれを楽しんでください!