高級な着物と安い着物の違いを比較!
人気の着物ブランドから、高級な着物ブランドなどをご紹介します。
高級着物ブランドには、人間国宝の作品からデザイナーズブランド、美術品のような高額から、リーズナブルな価格まで、さまざまな種類があります。
高級なブランドはいくらぐらいするものなのか、気になる方はぜひチェックしてみましょう!
高級な着物と安い着物の違い
高級な着物と安い着物の違いは、単に値段だけではありません。
デザインやコンセプト、素材にも高級ブランドごとに魅力があります。
ここでは高級な着物と安い着物の違いについて、具体的なメリット・デメリットをあげてご紹介します。
高級着物の特徴
高級な着物は、良質な素材を使用し、ブランドごとのオリジナルのデザインを展開しているのが特徴です。
染色工房や呉服屋では反物から選び、自分の好みにあったオーダーメイドの着物として仕立てることもできます。
【高級な着物のメリット】
・自分にあったサイズで仕立てることができる
・数世代にわたって長く着ることができる
・自分だけの一点ものの着物を楽しむことができる
【高級な着物のデメリット】
・予算内で購入できる着物の種類が少ない
・着物が仕立てあがるまでに時間がかかる
安い着物の特徴
安い着物の種類には、大量生産でつくられるプレタポルテの着物や、リサイクルショップや骨董市などで扱われるアンティーク着物があります。
【安い着物のメリット】
・予算内で購入できる着物の種類が多くなる
・普段使いとして、気軽に着物を着ることができる
・仕立て上がりが多いので、すぐに着ることができる
【安い着物のデメリット】
・サイズが限られているので、着付けに工夫が必要
・アンティーク着物は汚れやほつれの心配がある
・クリーニングや修繕にお金がかかる
【高級】着物ブランドおすすめ10選
一口に高級着物ブランドと言っても、人間国宝の職人が作りだす伝統工芸品のような着物から、着物デザイナーの現代風の着物など、デザインも価格もブランドによって個性があります。
【友禅】羽田登喜男工房
出典:羽田工房公式サイト
羽田登喜男工房は、人間国宝である羽田登喜男がたちあげた手書き友禅の工房です。
こちらの工房は加賀友禅の写実性と、京友禅の華やかな意匠の表現をあわせ持ち、作家一人ひとりが一貫作業を行います。
工房ではオーダーメイドの工芸作品のほか、作家たちが監修を行ったTOKIO et TOKI(トキオ エ トキ)という型友禅のプレタポルテ製品も手がけています。
羽田登喜男工房のデザイン特徴
羽田工房を代表するデザインが「鴛鴦(おしどり)」です。
仲睦(むつ)まじい様子の鴛鴦は古くから吉祥紋として使われていました。
羽田登喜男工房では、加賀友禅の技法を使用した独特のデザインを生み出しています。
【価格の相場】
人間国宝・羽田登喜男作品
・着物…約150万円
・帯…約15万円
・TOKIO et TOKI(プレタポルテ)…約15万円
羽田工房の着物は一点ものの作家作品のため、決して安くはありませんが、何世代にもわたって着つづけることができます。
【友禅】一竹辻が花
出典:一竹辻が花公式サイト
一竹辻が花は染色家の久保田一竹が室町時代に栄えた縫い絞りの染色技法「辻が花」を復刻し、新たに「一竹辻が花」として発展させた技法です。
絵画のような工芸作品のほか、実際に着用することができる着物や帯も手がけています。
一竹辻が花のデザイン特徴
一竹辻が花は、絞り染め後の「ひだ」に刺しゅうをほどこすことによって、生地に立体感とグラデーションをだすとともに、染色で色鮮やかな花々の文様が描かれていて、まるで自然そのものをまとっているような美しさです。
実際に着用する着物には、ブルーやベージュの生地に染め付けと刺しゅうで小さな花々が細密に描かれています。
【価格の相場】
・着物…50~150万円
・帯…50万円~
久保田一竹が手がけた美術作品の中には、5,000万円以上するものもありますが、工房全体での着物の値段相場は50万〜150万円以上です。
一竹辻が花の着物は、一代目、二代目、工房作品など、製作者によって値段に差があります。
【染色】しむらのいろ 志村ふくみ 志村洋子
出典:志村ふくみ公式サイト
人間国宝である染織家・志村ふくみは、植物素材で染色した紬(つむぎ)糸を織り上げ、自然な風合いゆたかな作品を生み出してきました。
その思いは娘の志村洋子、孫である志村昌司にも受け継がれ、植物由来の染料をつかい、今もすべて手作業で染め上げています。
志村ふくみ作品のデザイン特徴
風景の色をそのまま写し取ったような、色彩の美しさが志村ふくみ作品の特徴です。
桜の皮から染め上げられた「桜染め」は、まるで桜の花びらのような薄紅色が表現されています。
また、志村ふくみの代表作である「秋霞」は、藍を用いた染色技術で秋の夜の風景を美しいグラデーションで表現されていています。
【価格の相場】
・志村ふくみ作品
物…100万~250万円
・アトリエシムラ作品
着物(反物)…44万円~55万円
志村ふくみ作品は非常に人気が高く、リサイクルでも300万円以上の値段がつくことがあります。
孫の志村昌司がたちあげたブランド「アトリエシムラ」作品だと50万円程度で手に入れることができます。
【染色】小林染工房
出典:小林染工房公式サイト
丹後ちりめんの染色を行う小林染工房では、全てフリーハンドで手作業でぼかし染めを行っています。
日に焼けにくい染料にこだわり、堅牢度4級以上の高さを実現しました。美しさと丈夫さを兼ね備えた逸品です。
小林染工房デザインの特徴
小林染工房は「丹後ブルー」と呼ばれる美しい青のグラデーションが特徴です。
丹後の海の色を表現した染色技術で染め上げられる絹は、着物はもちろん、帯揚げや草履の鼻緒としても使用されています。
【価格の相場】
・着物…約40万円
・帯…約25万円
仕立て前の反物は30万円前後、帯揚げや鼻緒は2万円前後で購入できます。
【和装】撫松庵
出典:撫松庵公式サイト
撫松庵は和装メーカーの着物ブランドです。
着物や帯以外に帯揚げなど和装小物も手がけているため、着物のトータルコーディネートができるのが特徴です。
西陣織の伝統的な技術を帯づくりにいかす一方、吸水性の高い新素材を生地に取り入れることで着心地の良い着物を提供しています。
撫松庵のデザイン特徴
古典柄と現代柄が融合した大胆なデザインが撫松庵の特徴です。
都会の摩天楼が描かれた着物に、黒地に大きな満月が配置された帯を合わせるなど、従来にない斬新な意匠を発表しています。
若い世代に人気のデニム着物やレース着物もとりいれることで、コンセプトである「日常を彩る着物」づくりを目指しています。
【価格の相場】
・着物…10万円以内
・帯…1~10万円
・浴衣…3~4万円
作家や工房による一点ものの着物と異なり、プレタポルテの着物や浴衣はお手頃な値段で手に入れることができます。
【和装】きものやまと
出典:きものやまと公式サイト
きものやまとは、フォーマル着物から、気軽に着こなせるカジュアル着物や浴衣など、トータルコーディネートを展開しているブランドです。
2019年から着物に使用する素材にオーガニックコットンを取り入れることでSDGsにも配慮した着物づくりを目指しています。
生産地の後継技術者の育成や、相互交流にも力を入れています。
きものやまとのデザイン特徴
加賀友禅や有松鳴海絞りなど、全国各地の技法を取り入れ、デザインにいかしています。
また、障害のある人でも気楽に着物が着られるようにと「ユニバーサルきもの」をデザインしています。
【価格の相場】
・フォーマル着物…20~30万円
・浴衣…1~10万円
・帯…3千円~15万円
【マンガ家】 百葉堂
出典:百葉堂公式サイト
百葉堂は、マンガ家・安野モヨコが立ち上げた着物ブランドです。
「ふだん着物にちょっとした華やかさを」をコンセプトに、現代のデザインのファッションに似合う着物や帯、小物を展開しています。
百葉堂のデザイン特徴
植物や古典柄をモチーフにしながらも、安野モヨコの繊細なタッチで描かれた独創的な図柄は、和と洋、どちらにもあわせやすいデザインです。
色気がありながらも、気軽に着こなせるデザインの着物です。
【価格の相場】
・着物…6~14万円
・帯…4~6万円
着物や帯のセットなら、10万円程度で購入することができます。
【デザイナー】ドゥーブルメゾン
ドゥーブルメゾンは、これまでの着物のルールに制約されない自由なコーディネートを提案するブランドです。
和装と洋装の垣根をはらい、年齢や流行にとらわれず、おしゃれが大好きな女性たちの夢を叶えるクローゼットをコンセプトにしています。
着物以外に洋服や小物類も販売しています。
ドゥーブルメゾンのデザイン特徴
レースの着物は他のブランドでも販売されていますが、ドゥーブルメゾンでは着物や帯、羽織もすべて同じレースでトータルコーディネートが可能です。
また、ドゥーブルメゾンは洋服の生地やデザインを着物にも取り入れています。
着物の裾を大胆に黒のベルベットで覆った着物は、淡い生地にポイントが映えるデザインになっています。
【価格の相場】
・着物…4~10万円
・浴衣…3~5万円
・帯…3~7万円
10万円程度で着物と帯をそろえることができます。
【デザイナー】JOTARO SAITO
JOTARO SAITOは、染色作家、着物デザイナーをルーツにもつ斉藤上太郎が「現代空間にマッチするファッションとしてのキモノを追求」するために生まれたブランドです。
着物のブランドとして唯一、東京コレクションに参加し、グローバルファッションとしての着物を世界に発信しています。
JOTARO SAITOのデザイン特徴
JOTARO SAITOでは、動きやすいジーンズ素材やジャージ素材と、和の図柄を大胆にアレンジしたデザインが特徴です。
これらの着物は和の要素を取り入れながら、現代の洋風な空間にもフィットするアイテムとして人気があります。
【価格の相場】
・着物…5~12万円
・浴衣…10~15万円
・帯…2~7万円
デザインによって異なりますが、デニム素材やジャージ素材の着物は、同じブランドの綿着物より安く手に入れることができます。
【繊維メーカー】東レシルック
出典:東レシルック公式サイト
東レシルックは、新素材と伝統技術が融合した、新しい時代の着物ブランドです。
繊維メーカー・東レが開発した「絹調ポリエステル」繊維・東レシルックを、京都の職人による丁寧な技術で染色しています。
この繊維で作られた着物は、絹のような風合いをもち、汚れに強いため、天候に左右されずに着物を楽しむことができます。
東レシルックのデザイン特徴
「七宝」などの伝統的な小紋柄のほか、現代の着物デザイナーとコラボレーションをしたデザインが特徴です。
落ち着いた明るい色合いと、「蜻蛉(とんぼ)」や「雨模様」などの季節を表す美しい図柄は、冠婚葬祭から普段のおしゃれ着としても愛用されています。
【価格の相場】
・着物…3~13万円
・浴衣…3~8万円
通常の訪問着なら20万円以上するところを、東レシルックなら10万円台で購入できます。
まとめ
世間では「高級着物ブランドは高い」という印象がありますが、質の良い着物が一着手元にあることで、さまざまな場面で着用ができます。
また着物は、洋服のように短い流行に左右されず、長く着続けることができるため、コストパフォーマンスの良いファッションです。
現在は着物の種類も着こなしも多様性がある時代ですので、ご自分の好みと予算にあった着物ブランドを見つけることができます。