【卒業袴】はいからさんと寒さ対策

3月、寒さ残る中で訪れる卒業シーズン。

春は出会いと別れの季節ですね。

卒業式といえば、二尺袖に袴を合わせた「はいからさん」スタイルが王道。

明治から始まった袴スタイルは、当時の女学生の憧れだったといいます。

元を辿ると正倉院にある最古の袴はモンペと同じ形状で儀礼的な衣装でしたが、武士の時代を経て日常着になっていったようです。

袴が学業に結びつくイメージを作ったのは明治時代、女学校の教師が着用を始めたのがきっかけと言われています。

当然義務教育なんて無い世の中ですから、袴を着て学校に通うのは輝かしいステータス。

袴が制服として採用されてから昭和初期まで続いたその流れが近代で再熱したのは戦後、1987年公開の「はいからさんが通る」実写映画主演の南野陽子さんを真似、国内で卒業式に袴を纏う女学生が続出したそうです。

今も昔も、トップアイドルが流行を生み出すのは変わらない流れですね。

袴で定番の柄、「矢羽根」。

着物の柄は身近な物や風景から生まれたものが多く、こちらは名前の通り「矢」がモチーフになっています。

矢は放つと真っ直ぐ進み、戻らない事から縁起を担ぎ、江戸時代には嫁入り衣装として持たせる事も多かったようですね。

学舎から卒業していく衣装にはぴったりの柄です。

ちなみに「矢羽根」と「矢絣」の二つの呼び名がありますが、厳密にいえば「矢羽根」が柄の名前、「矢絣」は矢羽根柄を絣で表現した反物を指します。

絣は技法上かすれたような風合いの柄が出来上がる為、それをプリントで表現すると現代のような「掠れた矢羽根柄」になり、これを矢絣と呼んでいるのでしょうね。(私が思うに、ですが)

いずれにしろ「矢」の意味は変わりませんのでお好きなデザインを選ぶのがおすすめです。

袴にブーツを合わせる「はいからさんスタイル」が人気になる前は当然草履を合わせており、現代でも草履にするかブーツにするか、お好きな方を取って良いと思います。

それぞれ良さがありますが、季節柄まだ寒い日も多く草履の場合は足先の冷えが大敵!

普段着物を着ている私がおすすめの足元寒さ対策をご紹介します。

私は足袋インナーを愛用!

長時間外にいる事があまりないので充分かな。

お出かけメインだと足首まであったかくしたいので、膝下丈かストッキングがおすすめです。

福助さんのこの足袋ストッキングはよく考えられてるなあと感心しました。

茶道を嗜まれる方は、正座で足の甲が痛くなる場合もあるそうです。

その為の「甲クッション」という商品もあるのですが、それを入れ込んだ独創的な商品ですね。

ちなみにショーツが後履きなのは、腰回りの着崩れ防止のためです。

女性は足腰を冷やすのは良くないと言われていますし、あんまり下着を上まで履くと着崩れの原因になるとよく聞きますね。

私は腰紐にウエストベルトを愛用するので気にしませんが、着付けに通常の腰紐を使う場合は要注意ですね!

さて脱線しましたが卒業式の日、寒さ以外に気になるのはそもそも天気。

雪や雨の場合も考慮してブーツにする方が多いですが、どうしても草履を合わせたい!という方には「足袋カバー」がオススメです。

撥水加工がしてあり足袋の上から履く、足袋版レインコートみたいなものですね。

会場についたら足袋カバーを脱ぐだけで綺麗な白足袋がお目見えします。

そもそも雨の日はウレタン草履や雨草履を選ぶのがオススメですが、、、長くなるのでこの辺りはまたいずれ。

皆様素敵な卒業式を迎えてくださいね。

この記事を書いた人
碧井あんり

碧井 あんり(@anp_kimono

神奈川県出身。歌舞伎役者の叔父と祖母に影響を受け、20歳未経験で着物業界に飛び込む
。着物専門店で呉服全般の経験を積み管理職を務めたのち着物専門ライター・SNSディレ
クターとして活動。現在は神奈川県の振袖専門店で現場に立ち、成人式という人生に一度の
節目に携わっている。
好きなものは、アイドル「嵐」とお酒とカラオケ。
一張羅の着物は、前田仁仙の型染小紋。

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