華やかで品のある振袖は、日本の伝統的な儀式である結納での着用にもおすすめ。
しかし、「新婦が振袖なら、他の参加者も着物なの?」「結納にふさわしい振袖は?」と、一生に一度の大切な儀式だからこそ、さまざまな疑問が浮かびますよね。
そこで、この記事では、結納で振袖を着用する際のマナーを解説し、結納に最適な振袖の選び方や、事前に確認しておきたい注意点など、あなたの疑問に答えます。
結納で振袖を着るのはアリ?
そもそも、「結納で振袖を着るのってやりすぎ?」と不安に感じている方もいらっしゃるでしょう。
実は、独身最後のフォーマルな場である結納は、振袖を着る絶好の機会!
未婚女性の正礼装である豪華で華やかな振袖は、場の雰囲気を明るくするだけではなく、その長い袖には厄払いの意味もあるため、お二人の新たな門出を祝う結納にピッタリの衣装です。
結納で振袖を着る場合の両家の服装
新婦が振袖を着用する場合、新郎も正礼装である黒五つ紋付羽織・袴を用意するのが正式ですが、近年は、準備しやすいブラックスーツやダークスーツを着用するのが主流です。
また、日本の伝統では、洋装より和装の方が格が高いとされているため、両家の服装選びでは、格を合わせることが最も大切。
一般的に、父親はブラックスーツやダークスーツ、母親は訪問着や、色留袖、黒以外のワンピースなどを着用しますが、特に母親の服装は選択肢が多いため、新郎新婦が両家の間に入り、和装か洋装か、事前に服装の確認を行いましょう。
結納に最適な振袖の色
成人式や卒業式と違って、お相手やそのご家族がいる結納では、どんな振袖が最適なのか悩んでしまう方も多いでしょう。
そこで、ここからは、結納を行う季節や会場に合わせた振袖の選び方や、振袖の色が与える印象について解説します。
季節に合わせる
四季のある日本では、古来より、衣服の色や柄で季節を表現する文化があります。
そのため、結納で振袖を着用する際には、季節に合わせた色を選ぶと、お相手のご家族に好感を持たれやすいでしょう。
春夏は、爽やかで優しい印象を与えるパステルカラー、秋冬は、温かみのある深い色の振袖がおすすめです。
会場に合わせる
新婦の実家で結納を行う場合には、儀式の後、親族宅やご近所へ挨拶に伺うこともあるため、幅広い年代の方に好まれるピンクや白、クリーム色など、優しい色合いの振袖が望ましいです。
ホテルや料亭など、自宅以外で結納を行う場合には、移動の最中に雨で濡れる、着物が汚れるといったトラブルがあっても目立ちにくい、濃くハッキリした色の振袖が良いでしょう。
また、お店ではライトが暗めに設定されていることも多いため、赤や紫、緑といったハッキリした色の着物を着用することで、記念撮影を行う際にも、顔映りが良くなります。
色の印象で選ぶ
結納に最適な振袖選びでは、色が持つ印象に注目してみるのもおすすめです。
例えば、赤は愛情を示す色で、おめでたい雰囲気を演出するのにピッタリの色ですし、ピンクは着る人に女性らしく可愛いイメージを与えます。
また、黒は格式高く、落ち着いた印象の色ですが、模様が少ない振袖の場合、喪服を連想する方も多いため、結納の時には避けた方が無難です。
好きな色や似合う色で選ぶ
結納は、人生で最後の振袖を着る機会ですから、「自分の好きな色を選ぶ」ということも、やはり大切です。
また、近年では、服を選ぶ際、肌が明るく見える「パーソナルカラー」を重要視する方も増えています。
記念写真を撮ることが多い結納では、自分が好きな色や、肌映りの良い色の振袖を着ると、何度も写真を見返したくなる素敵な思い出になるでしょう。
結納にふさわしい振袖の模様
結納は、家と家を結ぶ、日本古来の大切な儀式。
両家に敬意を表する振袖は、結納にピッタリな衣装ですが、必要以上に華美な模様や、個性的な柄の着物を選ぶと、かえってお相手のご家族に悪い印象を与えてしまう可能性も。
そこで、続いては、華やかなのに品がある、結納にふさわしい振袖の模様を紹介します。
季節の模様
色で季節を表現するように、着物の模様にも季節を感じられるものがあります。
春なら桜や牡丹、秋なら紅葉や桔梗など、季節のモチーフを取り入れた振袖は、誰が見ても好印象です。
小柄な方は、振袖の模様も、小さく繊細なものがお似合いになり、また、背の高い方であれば、大きな模様の入った振袖でも着こなせるでしょう。
吉祥文様
吉祥文様とは、繁栄や長寿、夫婦円満など、さまざまな願いがこもった、日本で古くから使われている縁起の良い模様です。
結納では、おめでたい吉祥文様の振袖も、お相手のご家族から喜ばれるでしょう。
花柄などの可愛らしい模様が苦手という場合や、大人な雰囲気の着物を選びたい場合は、吉祥文様の振袖を検討してはいかがでしょうか。
結納で振袖を着る場合の注意点
一生に一度の特別な機会だからこそ、不測の事態や思わぬ失敗は避けたいもの。
ここからは、事前に確認しておきたい、結納で振袖を着用する場合の注意点を紹介します。
振袖に合う会場選ぶ
振袖は、未婚女性の最も格が高い衣装である一方、豪華で華やかなため、周囲の目をひきます。
自宅以外の場所で結納を行うなら、ホテルや料亭など、振袖でも悪目立ちしないような、格式のある会場を選びましょう。
「どんな会場が良いのかわからない…」という場合は、お食事やサービスがセットになった「結納プラン」のあるお店を選ぶのがおすすめです。
事前に天気を確認する
絹糸で作られた振袖にとって、汚れや縮みの原因になる雨は天敵です。
事前に天気予報を確認し、雨が降る場合には、タクシーを使って移動する、できるだけ会場の近くに車を停めるなど、工夫をしましょう。
また、雨の日は足元が悪くなるため、草履を水や泥から守る「ぞうりカバー」を用意しておくと、安心です。
ぞうりカバー
草履の水濡れを防ぐ、取り外し可能なぞうりカバーです。
こちらの商品には、足裏に下駄のような二枚歯が付いており、地面と草履の接地面を減らすことで、泥跳ねを防ぐ効果もあります。
一般的な草履はもちろん、振袖用の厚みがある草履でも装着できるため、結納の際にもピッタリです。
所作に気を付ける
振袖を着ている時は、着崩れを防ぐために、上品でおしとやかな所作を心掛けましょう。
車の乗り降りや、立ち座り、移動する時など、動くときには必ず、右手で振袖の上前を押さえ、ゆっくり、小さく動くことが重要です。
お手洗いに行く際には、着物クリップを持っておくと、長い袖をまとめたり、裾を固定したりするのに便利です。
着物クリップ
着付けの際にも便利な着物専用のクリップです。
こちらは、お手洗いの際、袖や裾をまとめるのにちょうど良い、3個セットの商品。
滑りやすい着物生地でもしっかり固定できるよう、クリップの内側には滑り止めがついています。
結納に向かない縁起の悪い柄はある?
「散る」ことを連想させる桜や、丸ごと花が落ちる椿は、おめでたい場には不向きな柄とされています。
また、吉祥文様である蝶の柄にも、実は「黄泉の国からの遣い」「浮気」など、結婚を控える方には向かない不吉な意味があるんです。
縁起が悪いとされる模様でも、さまざまな柄と共に描かれている場合は、まったく問題ありませんが、例えば、写実的な桜吹雪が一面に描写されている振袖や、蝶の柄のみの振袖などは、結納の際には控えたほうが良いでしょう。
結納で着る振袖の準備方法
人生の節目以外では、なかなか着る機会がない振袖。
直前になって慌てることのないよう、結納で振袖を着用すると決めたら、できるだけ早く準備を始めるのがおすすめです。
ここからは、結納で着用する振袖の準備方法を紹介します。
手持ちの振袖を着用する
成人式のために購入した振袖や、親から譲り受けた振袖がある場合、新しいものを準備する必要はありません。
しかし、長くタンスにしまっていた振袖には、湿気や匂いが付いていることもあるので、1度陰干しをし、虫食いや汚れがないか、振袖の状態をチェックしましょう。
襦袢や帯、着付け小物についても確認しておくと、当日慌てることなく安心です。
新たに購入する
未婚女性のみが着られる振袖は、非常に高価なこともあり、結納のために新しく購入する方は珍しいかもしれません。
しかし、落ち着いた色・柄の振袖なら、訪問着に仕立て直すことができ、結婚後も長く着用できます。
また、大切に保管しておけば、将来、お子様に譲り渡すこともできるため、結納の記念に、新たに振袖を購入するのも1つの手です。
レンタルする
振袖をお持ちでない場合、呉服店などのレンタルを利用すると、手軽で便利です。
お手頃な価格で振袖を着用できるのはもちろん、着付けに必要な襦袢や帯、小物も合わせて借りられる店舗も多く、準備に手間がかかりません。
結納が終わった後も、振袖のお手入れやクリーニングの必要がないところも、レンタルが便利な理由です。
まとめ
今回は、結納で振袖を着用する場合のマナーや、色・柄の選び方、さらには事前に確認したい注意点などを紹介しました。
格の高い振袖を着用することは、両家への敬意を表すだけではなく、その華やかな着姿には、場を明るくする効果も期待できます。
一生の思い出に残る大切な結納の儀式を、ぜひ、素敵な振袖でお迎えください。