外国人の方から見た魅力だけでなく、着物の魅力がわかりやすい歴史やおすすめの本を紹介。
日本の伝統衣装である「着物」。
この記事では、着物の魅力について詳しく解説していますので、この機会に着物の魅力を知ってもらいたいと思います。
着物の魅力
さっそく着物の魅力を7つ紹介していきます。
日本の気候に合った仕立て
着物は日本で発展した衣服なため、日本の高温多湿な気候をうまく乗り越えられるような仕立てになっています。
袖口が大きく空いていることで風が通り、夏でもひんやりとした風を感じれるのです。
また、うなじ部分に布が詰まっていないので、蒸れずに快適に過ごせます。
冬は重ね着したり、うなじや袖口を覆うように防寒すればいくらでも暖かくすることができるでしょう。
和の文化を表現している
着物には日本の伝統的な文様が使われていることが多いです。
文様には一つ一つに意味があり、繁栄や長寿を表す「吉祥文様」や、縁起のいいものが表現されています。
文様に幸せや発展の願いを込めるというところはとても日本らしく、和の文化の象徴とも言えるでしょう。
文様を用いている着物を着ることで、文様に込められた意味を知ることができます。
着ると自然と所作が美しくなる
ものを取るときなどは長い袖が邪魔にならないよう反対の手で押さえるなど、着物を着ると所作が美しくなります。
着物を着るときには必ず帯を締め、腰ひもなどを結び、着崩れないよう固定するため、自然と背筋が伸び、骨盤も固定され、姿勢もよくなるでしょう。
足が広げにくくなり、椅子に座るときやしゃがむときの動作が自然とおしとやかな動きになるのです。
女性でも男性でも、美しい所作がスマートにできるのは素敵ですよね。
四季を感じられる
着物には季節ごとの花が描かれていることが多く、帯留めなどの小物にも季節のモチーフがかたどられているものがたくさんあります。
季節を少し先取りするのが、着物を着る際のおしゃれと言われており、コーディネートを考えるときなど自然と季節感を意識すると良いでしょう。
どの花がいつ頃咲くのかについても詳しくなれますし、道で咲く花にも自然と意識が向くようになり、四季それぞれの良さについて再認識させてくれます。
伝統技術を身近に感じられる
着物を作るには、染め、織り、刺繍など様々な伝統技術が使われます。
着物だけでなく、帯や帯締め、かんざしや帯留めなどの小物にも組みひもの技法や金属工芸などの技術が詰め込まれているのです。
着物を着るとたくさんの伝統技術を一度に身にまとうことができ、日本の技術をまさに肌で感じることができます。
流行りすたりが少ない
洋服には流行りの形や色などがあり、目まぐるしくトレンドが変化していきますが、着物ではそうした変化は少ないのも特徴の一つです。
柄も様々にありますが、先ほど紹介したように季節ごとに使い分けることはあっても、流行りが過ぎたからこれはもう着られない、ということはほぼありません。
タンスに眠っていた昔の着物でも、おしゃれに着こなすことができるのです。
体型が変わっても長く着ることができる
型紙を使って体の形にあわせて裁断・縫製する洋服と違い、着物は布を直線的に縫い、着付けで体に合わせていくという着方をします。
着付けである程度調整できるので、体型が少し変わるくらいでは着られなくなるということがありません。
また、身長が伸びたり、体型が大きく違う人から譲り受けた、という場合でも、ほぼ直線で縫っている着物は簡単に解くことができ、仕立て直すことで体形の変化に対応でき、長く着ることができます。
ものを大切にし、長く使おうという先人の心意気を感じることができます。
外国人から見た着物の魅力
着物は日本人にとって魅力がたくさんあるだけでなく、外国の人からも人気があります。
ここからは、外国人から見た着物の魅力や、着物を世界に誇れる理由について説明していきます。
江戸時代からヨーロッパの人々を魅了
江戸時代、日本の庶民の間で人気だった「浮世絵」。
浮世絵はオランダ商人を通じてヨーロッパに持ち込まれ、人気を博していました。
「ひまわり」の絵で有名なゴッホも浮世絵を気に入り、彼の作品にも影響を与えていました。
ゴッホの「タンギー爺さん」という絵には、背景に浮世絵をモチーフにしたと思われる絵が並んでおり、着物姿の女性も描かれています。
のちに世界的に大人気となる偉大な画家の絵にインスピレーションを与えられるほど、世界の人々から見ても着物は魅力的なのです。
「ニンジャ」「サムライ」を体感できる
日本の漫画、アニメ人気の影響もあり、海外でも「ニンジャ」「サムライ」はよく知られており、これらに憧れている外国人も少なくありません。
もちろん、ご存知の通り忍者や侍は日本にはもういませんが、アニメで見た「ニンジャ」や「サムライ」が着ていた着物は日本では実際に見ることができます。
着物をレンタルできるお店もあるので、実際に着てみることもできます。
こうしてアニメで見た世界を体験できるのも外国人を魅了する理由の1つです。
「着るアート」としてお土産にも
着物は様々な柄が描かれており、振袖や訪問着などはまるで1枚の絵画のようです。
こんなに美しい衣服というのは、世界的に見てもとても珍しいです。
また、モチーフとしても日本ならではの絵が描かれているので、日本の文化に興味がある外国人にとってはとても魅力的です。
日本らしさのあるお土産として購入する外国人も多く、ガウンのように使ったり、家に飾ったりすることができて、とても喜ばれるようです。
着物の歴史
着物は日本の風土にあった発展をし、日本人の精神や文化をよく表していると説明してきましたが、そんな着物の歴史について説明していきます。
平安時代の「小袖」がはじまり
現在の着物の元になったのは、平安時代の「小袖」というものだと言われています。
平安時代の装束といえば十二単を思い浮かべる方も多いと思いますが、十二単のような袖口が大きく開いた衣服を「大袖」といい、その下に着ている袖が比較的小さい衣服を「小袖」と呼んでいました。
貴族が大袖の装束の下に着ていた小袖でしたが、鎌倉時代頃からは下着ではなく表着として着られるようになり、庶民らにも広がっていきました。
そこから少しずつ形が変わり、江戸時代頃には現代の着物とほぼ変わらない形となりました。
着物の魅力を知れるおすすめの本
ここからは、更に着物の魅力を知ってもらえるよう、着物の楽しさや良さをわかりやすく教えてくれる本を紹介していきます。
魅力を知ればもっと好きになる! 着物を楽しむ教科書
こちらの本では、着物の種類、着付け、お手入れ、収納、所作など、学べることがもりだくさんです。
着物初心者の方にもわかりやすく説明してくれており、着付けも丁寧に解説してくれているので、自分で着付けるのが初めてでも、この本を見ながらならきっと上手に着付けができるはずです。
また、コーディネート例もたくさんあり、正統派な着方で着たいとき、洋装ミックスで斬新な着方がしたいときなど様々なパターンで参考になります。
そのため着物愛好者の方にも新たな発見があり、ワクワクしながら読み進めることができますよ。
長襦袢の魅力: 着物の下の遊び心、女心
普段は着物の下に着て、ほとんど注目されることのない長襦袢。
ですが、大正〜昭和頃までの長襦袢は色鮮やかで艶っぽく、とても魅力的なものでした。
絵や文学に描かれた長襦袢を通して、当時の女性たちがいかにして複雑な色や柄を自在に操り、楽しんでいたか、ということを紹介しています。
アンティーク長襦袢のカラー写真も豊富で、写真を見るだけでも楽しい一冊となっています。
マンガで教養 はじめての着物
こちらは着物初心者の方向けの入門書になります。
着物の名称、種類から小物や着物の入手方法まで、着物に関する基本的な知識が網羅されており、これさえ読めば着物の基礎はばっちりです。
マンガでわかりやすく解説してくれており、写真やイラストも豊富でとても読みやすい本となっています。
着物をはじめたいけど何から手を付ければわからない、という方はまずはこちらの一冊を読んでみることをおすすめします。
着物の種類
着物の魅力について説明してきました。
ここからは、そんな魅力がたくさんの着物を着てみたいと思った人のために、着物選びで迷わないように着物の種類を簡単に紹介していきます。
シーン | 種類 |
---|---|
フォーマル | 振袖 |
留袖 | |
訪問着 | |
付け下げ | |
色無地(紋あり) | |
カジュアル | 色無地(紋なし) |
小紋 | |
紬 | |
浴衣 |
上に行くほど格が高くフォーマル向き、下に行くほどカジュアル向きとなります。
どの着物を着たらいいのか迷ったら参考にしてみてください。
まとめ
着物の魅力について紹介してきました。
着物にはたくさんの魅力があり、日本人だけでなく、外国人から見てもとても素晴らしい衣服であるということがお分かりいただけたかと思います。
この記事を読んで着物の魅力について知ってもらい、着物に興味を持ってもらえたら幸いです。