最近着物を着始めたけど、マナーや常識がわからない…
こんな方もいるのではないでしょうか?
着物には着付け方や作法などのルールがあり、暗黙の了解とされています。
行事の内容によっては着てはいけない種類の着物もあり、知らないでいると失礼になる可能性も…。
この記事では、最低限知っておきたい着物の常識やマナーを解説します。
着物を始めて日が浅い方や、初めて着物を着る方はぜひ参考にしてください。
着物の基礎知識と常識
![振り袖姿の人差し指をたてる女性](https://kimonotrip.com/wp-content/uploads/2024/05/22032690_s-1.jpg)
着物の種類や格など、基本的な知識について解説します。
最低限の知識を身に着けておき、着物について話すときに失敗しないようにしましょう。
着物の種類
着物にはたくさんの種類があり、紋(模様)の数や袖の長さなどによって呼び方が変わります。
どんな種類があるか理解しておくと、着物選びに失敗しなくなりますよ。
着物の種類を一覧表にまとめたので、参考にしてください。
着物の種類 | 説明 |
---|---|
白無垢・色打掛 | 白無垢:婚礼用の真っ白な打掛 色打掛:婚礼用の鮮やかな染めと刺繍の打掛 |
色留袖 | 慶事に着る色鮮やかな着物 |
黒留袖 | 慶事に着る最も格式が高い黒地の着物 |
訪問着 | 背中や肩にも柄が描かれている着物の正装 |
付け下げ | 訪問着よりもシンプルな柄の着物 |
色無地 | 1色で染められた無地の着物 |
小紋 | 絵柄が繋がっていない着物 |
紬 | 先に色を染めた生地で作られる丈夫な着物 |
浴衣 | 丈が短めのカジュアルな着物 |
着物の格と格式
着物には「格」と呼ばれる基準があり、種類によって格式の高さも変わります。
冠婚葬祭などの行事やパーティー、お出かけなど、場面ごとに適切な格の着物を着なければいけません。
着物の格には以下のような種類があります。
・第一礼装:最も格式の高い着物
・準礼装:格式の高い式典などで着る着物(略礼装とも)
・外出着:セミフォーマルな場に着る着物
・普段着:日常的なお出かけや旅行で着る着物
格を知っておかなければ、場面ごとに適切な種類の着物を選べません。
以下の表に着物の格と該当する種類をまとめたので、参考にしてください。
着物の格 | 当てはまる種類 |
---|---|
第一礼装 | 打掛・白無垢、黒留袖、色留袖(五つ紋)、振袖、喪服 |
準礼装 | 色留袖(三つ紋・一つ紋)、訪問着、色無地(一つ紋) |
外出着 | 付け下げ、小紋、紬(柄続きのもの) |
普段着 | 紬、浴衣 |
和服と着物の違い
着物=和服という認識もありますが、厳密にいうと着物は和服の一種です。
和服には他にも「袴」や「甚平」などがあり、これらの総称となっています。
着物を「和服」とまとめるのを気にする方もいるので、知識として覚えておきましょう。
着物の種類と着用シーンの常識
![ご祝儀を差し出す黒留袖の女性](https://kimonotrip.com/wp-content/uploads/2024/05/1657042_s-1.jpg)
着物には種類と格ごとに、適切な着用シーンがあります。
また、着る人の立場によっても種類を変えなければいけません。
マナー違反になってしまう場合もあるため、着用シーンと種類の関係を覚えておきましょう。
TPOに合う着物を着る
着物は行事や参加する場の雰囲気に合わせて種類を変えましょう。
たとえば、結婚式では格式の高い色留袖を着用したり、友人とのお茶会では訪問着や色無地を着たりなど。
格式の高い場に普段着を着て行ったり、ちょっとしたお出かけに礼装を着るのは場違いとなるため、注意してください。
相性の良い着物 | 着てはいけない着物 | |
---|---|---|
結婚式 | 黒留袖、色留袖、振袖、訪問着、色無地 | 小紋、紬、浴衣 |
パーティー | 振袖、色留袖、訪問着、色無地 | 黒留袖、紬、浴衣 |
お見合い・顔合わせ | 振袖、訪問着 | 黒留袖、色留袖、浴衣 |
旅行や外出 | 色無地、小紋、紬、浴衣 | 黒留袖、色留袖、振袖 |
カジュアルなお茶会 | 訪問着、色無地、小紋 | 黒留袖、色留袖 |
卒入学式 | 色留袖、振袖、訪問着、色無地 | 小紋、紬、浴衣 |
お葬式 | 喪服、色無地 | 喪服と色無地以外 |
立場によって種類を変える
着物は立場も考慮して着なければいけません。
既婚・未婚によって着て良い着物が変わりますし、行事の主催側・出席側によっても変える必要があります。
特に結婚式では、紋の数にも気を遣い、場違いや失礼にならないようにしましょう。
結婚式に着ていく着物の種類を立場ごとにまとめましたので、こちらも参考にしてください。
立場 | 着物の種類 |
---|---|
新郎新婦の母親 新郎新婦の親族で既婚の方 | 黒留袖 |
新郎新婦の親族 | 色留袖 |
新郎新婦の姉妹 参加する友人や同僚 | 振袖 |
親族(既婚・未婚問わず) 参加する友人や同僚 | 訪問着の一つ紋の色無地 |
季節に合う着物を選ぶ
着物は季節ごとに仕立て方の異なる生地を着ます。
単衣:6月・9月に着る裏地のない着物
薄物:夏場に着る通気性の良い着物
袷:秋から春にかけて着る裏地のついた着物
薄物は外見にもわかりやすいので、時季外れに着ていると指摘される場合も。
カジュアルに着る場合は良いですが、フォーマルシーンでは造りにも気を付けましょう。
着付けのマナーと常識
![着付けをする女性](https://kimonotrip.com/wp-content/uploads/2024/05/2455992_s-2.jpg)
全ての着物に共通するのが着付けのマナーです。
着付け方・着こなし方を間違うと失礼になるだけでなく、強い指摘を受けてしまうかもしれません。
着物の着付け方を確認していきましょう。
衿の重ね方を守る
着物の衿は「右前」が基本。
右前は、右側の衿に左の衿が重なっている状態です。
前後が逆の「左前」はマナー違反となるので、重ね方は必ず守りましょう。
腕のアクセサリー類は控える
着物を着ているときは、極力アクセサリーを付けないようにしましょう。
特に腕のアクセサリーは、「時間を気にする」として失礼にあたります。
ピアスやネックレスなども本来はNGとされているため、式典などに参加する場合は控えたほうが無難でしょう。
立ち振る舞いのマナーと常識
![正座して挨拶をする女性](https://kimonotrip.com/wp-content/uploads/2024/05/299326_s-1.jpg)
着物を着ている間は、立ち振る舞いにも注意しなければいけません。
美しい姿勢や動作を心掛け、マナー違反を防ぎましょう。
歩幅は大きくしないこと
着物で歩く際は大股にしないよう気を付けましょう。
歩幅を大きくして歩くのは下品とされているだけでなく、着崩れの原因にもなります。
小股かつ少し内股気味に歩くのが着物の上手な歩き方です。
しゃがむ時は脚を閉じること
着物でしゃがむ時は足を閉じたままにしましょう。
ガニ股でしゃがんだり、腰を丸めてしゃがむのは美しい所作ではありません。
背筋を起こしたまま、片足を半歩下げると綺麗にしゃがめますよ。
腕を伸ばすときは袖を押さえること
腕を前に伸ばすときは袖を押さえましょう。
袖の中が見え過ぎてしまうのは良くないとされています。
反対の手で押さえ、正面にいる人に中を見せないようにしてください。
手は上に挙げ過ぎないこと
手を胸より上に挙げてしまうと、腕や肘が見えてしまいマナー違反となります。
また、着物が大きく動くことで着崩れを起こす場合も。
肘が胸より上がらないよう、小さな挙げ方を心掛けましょう。
荷物は手持ちのバッグに入れること
着物を着る場合はショルダーバッグなどを使用せず、ハンドバッグを使用しましょう。
ショルダーバッグは着崩れを起こす原因となり、指摘を受ける原因にもなります。
とくにフォーマルな場ではハンドバッグにするのが無難です。
食事中は袖に気を遣うこと
食事中は袖の汚れや腕の露出に気を遣いましょう。
食事中は腕を伸ばしたり、手を口元に運んだりと、袖が動く機会が多くなります。
腕を広げすぎないようにし、袂を押さえるなど注意しましょう。
まとめ
着物にはマナーがあり、守らなければ失礼にあたってしまいます。
指摘を受けずとも恥ずかしい思いをする場合があるため、最低限の常識を抑えておきましょう。
種類や着こなし方をマスターして、着物初心者からステップアップしてくださいね。